トップオピニオン社説自民総裁選 失敗繰り返さず政策本位で【社説】

自民総裁選 失敗繰り返さず政策本位で【社説】

自民党総務会に臨む鈴木俊一総務会長(左から3人目)、森山裕幹事長(同4人目)ら=9日午前、東京・永田町の同党本部

自民党は党総裁である石破茂首相の退陣表明を受け、臨時総裁選を10月4日に行うことを決定した。1年も経(た)たないうちに衆院選、参院選で大敗し、あと2年の総裁任期を残して首相が退陣することは、昨年の総裁選は失敗だったことを意味する。もう一度やり直す総裁選では、投票権を持たない国民も納得する選挙を行うべきだ。

保守派排除で政権短命に

同党所属国会議員と党員・党友が投票する「フルスペック」方式で行われる総裁選に、「解党的出直し」を明記した参院選総括を受けて立候補者は挑むことになる。それぞれ何が解党的であり、どのような出直しをするのか明確に公約してほしい。

また一方で、同党には立党の精神として専制主義や共産主義に反対し、憲法改正を唱えている。長年、公約としてきた憲法改正についていかに展望し具体化させるのか、「総裁」としての矜持(きょうじ)を示すべきだ。

総裁選5度目の挑戦で昨年9月27日に選出された石破氏は、党内基盤をほとんど持たず立候補に必要な推薦人20人を集めることが関門だった。しかし、支持率低迷で再出馬を断念した岸田文雄前首相が行った党内派閥解散の試みの中で、10人程度の党内グループ・水月会を率いていた石破氏の政治力の弱点はかき消され、決選で1回目の投票でトップだった高市早苗前経済安全保障担当相を破った。

その後、10月1日に国会で首班指名を受けて首相に就任すると9日に衆院を解散、27日の衆院選で自民、公明の与党は絶対安定多数から過半数を割り込む歴史的惨敗となった。首相就任から8日後の戦後最短のスピード解散で自滅したにもかかわらず、敗北の責任を首相も森山裕幹事長も取らず続投した。出鼻をくじいた大敗の流れは戻しようがなく、この続投も含めて失敗と言うほかない。

昨年の総裁選が“失敗”したのは解散総選挙とセットで政権浮揚を短兵急に構想したからだ。もう一つは、安倍晋三元首相暗殺事件以降の岸田政権のリベラル化と安倍派潰(つぶ)しによる保守派排除が露骨であり、総裁選が保守対リベラルの二極対立化、党内亀裂を生んだことだ。

保守層が離反して岸田前内閣の支持率は下げ止まらず、政権運営が行き詰まった。新顔を選ぶ総裁選で脚光を浴び、新内閣発足早々に解散総選挙を行えば、立憲民主党はじめ弱い野党を相手に安定政権は持続し得るという甘い読みが、石破政権を短命にした最大の原因だ。

衆院、参院の2度の国政選挙で致命的な敗北を喫してもなお続投に執念を燃やした石破氏だが、遅きに失したとはいえ憲政の常道に従い辞任を表明した。前回のように自公の連立与党が衆参で安定多数を保持していた時とは違い、自民は少数与党の第1党として総裁選を行う。

闊達な論戦を期待したい

いずれにしても国会で法案を通すには自民、公明に加えて野党のいずれかの党派の協力を受けなければならない。その際には政策本位の与野党協議が行われることになる。従って総裁選も政策を中心とした政権構想を立候補者が示して、闊達(かったつ)な論戦を期待したい。

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