北陸新幹線の敦賀から新大阪に延伸する「小浜・京都ルート」を再検証する声が上がっている。「米原ルート」が再浮上した形だ。それぞれ一長一短があり、沿線自治体の事情も錯綜(さくそう)するが、国土強靭(きょうじん)化という北陸新幹線の開業の目的を第一に判断すべきである。
「小浜・京都」か「米原」か
北陸新幹線は、東京を起点として北陸の主要都市を経由し、京都、大阪まで約700㌔を結ぶ路線だ。南海トラフ巨大地震などで東海道新幹線が不通になった場合の「迂回(うかい)ルート」としての役割が期待されている。自然災害が多発する中、その期待は増している。
ただ5月に東京都内で開かれた沿線自治体が集まっての建設促進大会で、石川県の馳浩知事が京都府内の課題解決ができなかった場合、「10年以上前に議論のあった米原ルートも検討してほしい」と発言。決議文に「米原」の記載はなかったが、これ以後もくすぶり続けた。
そんな中での参院選の京都選挙区で、計画の見直しを主張した日本維新の会の新人がトップ当選を果たし、小浜・京都ルートを訴えた北陸新幹線与党整備委員会委員長の西田昌司氏は2番手の当選となった。これを受け西田氏はこれまでの主張を翻し、国土交通省に米原ルートを含むルートの再検証を依頼した。
こういった動きに対し、福井県の杉本達治知事は「長い経緯があって現在の形になっている。乗り換えなしの利便性、ルートが短く近い、という経済性や時間の優位性や国土強靭化の観点を踏まえて小浜・京都ルートが決定されているという事実をなしにすることはあり得ない」と見直し論の過熱を牽制(けんせい)した。
さらに福井県議会の宮本俊議長は、近畿2府7県議長会で「小浜・京都ルート以外なら福井県は1円も負担しない」と反発。延伸に希望を託してきた小浜などでは、それを前提に新しい街づくり計画も進められている。
JR西日本の倉坂昇治社長も「大阪まで直通で結ばれて初めて効果が出るのであって、米原で直接乗り入れすることが難しい米原ルートは私たちも望まない」と述べている。そんな状況でも見直し論がくすぶる背景には、京都府の住民の地下への影響に対する懸念だけでなく、いくつもの問題がある。
一つは工期の問題で、当初15年とされた工期は、昨年の国交省の試算で最長28年に延び、建設費も最大3兆9000億円に膨らむことが判明した。延伸の着工の見通しが立たないことから、国交省は建設費について、令和8年度予算の概算要求では金額を示さない「事項要求」とする方針で、これは2年連続だ。
新大阪と結ばれてこそ新幹線の利便性を発揮できるのに、いつまで待たねばならないのかという不満が馳氏らにはある。延伸のためには、これらの問題を解決していかねばならない。
今後の連立枠組みも影響
小浜・京都ルートと米原ルートにはそれぞれ一長一短がある。自公連立政権が少数与党となり、今後の連立の枠組みもこの問題に影響するのではないかとの見方もある。最終的には国家的な視点で、国土強靭化の実現に資する判断をすべきだ。






