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防災の日 極端現象下の災害対策を【社説】

9月1日は「防災の日」。酷暑が続く中、各地で豪雨被害が発生するなど改めて日本が災害列島であることを実感する。大規模地震と豪雨が重なって起きた場合への警戒感を高めることなど防災の課題は少なくない。

研究施設の統合視野に

日本は世界でも有数の多雨地域であるアジア・モンスーン地帯に属しており、夏の暑さと湿度の高さを生んできた。今夏の猛暑の背景には、ここ10年来問題となってきた強い雨や高温、それが続発する「極端現象」の存在がある。この異常気象は今後も続くとみられる。特に日降水量100㍉以上の大雨は最近頻繁に起こり、熊本県では8月10日からの大雨で大きな被害が出た。北海道・帯広では1時間に40㍉と、50年ぶりの激しい雨を観測した。

こういった気象環境に対し、気象庁や大学研究機関では、地震、火山、豪雨などの観測・研究が日進月歩で、最新の観測機器などを用い被害軽減の研究も盛んだ。特に注目すべきは、豪雨が起きる前の線状降水帯の発生と位置予測が進んできたことだ。先の熊本県の災害では「線状降水帯が発生する可能性が高まっていること」を呼び掛ける“半日前予測”情報が出され、住民の避難に供した。

火山噴火のメカニズム解明でも、地球内部のマントルとマグマの関係などがより明らかにされつつある。地震研究ではP波とS波の物理的特性を精密に調べ、震源地特定や発生予測の手法が相当進んでいる。一方、大規模地震と豪雨、火山噴火が続発した場合、極めて複雑な災害の様相を帯びることが予想されるが、その研究や観測は大方が未着手だ。

今後は各地域で地震と極端豪雨、噴火、津波・高潮などが重なったワーストシナリオとその対応を考えることが、研究上も実務的にも大切になっている。現在の研究、観測体制下では、急迫の時、気象情報をどうまとめ、住民にどう還元したらいいか分かっていない。

そのため気象学者らの間からは、気象研究、観測機関のシステム化、組織化を急ぐ必要性が強調されている。防災対策の決定打になる可能性もあり、ぜひ実現してほしい。

現実の防災対策では今日まで耐震構造の強化が進められてきたが、道路陥没や水道インフラ・建物の老朽化による人的被害が目に付き、災害における被害拡大の要因となることが現実味を帯びている。災害の大きさは文明の規模の2乗に比例すると言われ、大地震の時は予想もしないことが起きるかもしれない。生活インフラ、通信システムの点検を怠ってはならない。また、土砂災害対策では“緩衝地帯”としての自然環境の役割を十分認識する必要がある。緩衝地帯をどんどん広げていくことが肝要であり、その方策の一つとして植林活動がある。

自然を受容する構えを

和辻哲郎は著書『風土』の中で「自然は対抗するものではなく、受容するものとなる」と、わが国の独自の文化形成について書いている。気象状況の大きな変化と共に、自然との新たな共存の在り方を追求すべき時のように思う。

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