
トランプ米大統領と韓国の李在明大統領がワシントンで会談した。トランプ氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との再会談に意欲を示し、「年内に会いたい」と表明した。ただ再会談が実現しても、北朝鮮非核化などの成果を出せるかは不透明だ。
李氏がトランプ氏に要請
李氏は会談冒頭、核・ミサイル開発を進める北朝鮮との対話に取り組むようトランプ氏に要請。韓国・慶州で10月下旬に始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた米朝首脳会談の実現に向けて調整することを提案した。
こうした李氏の姿は、第1次トランプ政権時に米朝間の「仲介役」を自任した韓国の文在寅大統領(当時)をほうふつとさせる。北朝鮮が2018年2月に韓国で開催された平昌五輪に参加し、南北融和ムードが広がる中、この年の6月にトランプ氏と正恩氏による史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われた。ただトランプ氏は19年2月にベトナム・ハノイ、19年6月には板門店でも正恩氏と会談したが、北朝鮮の非核化を実現することはできなかった。
北朝鮮との関係改善を望んでいる李氏が、トランプ氏に正恩氏との会談を要請したのは、自身の政権基盤を固める狙いもあるだろう。しかし北朝鮮は韓国文化の流入で体制が動揺することを警戒し、韓国に厳しい姿勢を示している。また米朝対話については、米国が北朝鮮を「核保有国」と認めることが前提としている。
北朝鮮は現在、ウクライナを侵略するロシアとの関係を深めている。ロシアを支援するために兵士を派遣し、ミサイルや砲弾などを提供。ロシアは見返りとして防空システムや軍事偵察衛星、ドローンなどの技術を供与した。露朝両国は昨年6月、事実上の軍事同盟とされる「包括的戦略パートナーシップ条約」も締結している。ロシアの侵略を止められない状況で、トランプ氏が正恩氏と会談しても得るものは乏しいだろう。
一方、米側は米韓同盟を「現代化」し、北朝鮮への備えが中心だった在韓米軍の役割を中国抑止も視野に入れたものに改めるよう提起してきた。李氏は会談後の演説で、台湾有事を念頭にトランプ政権が韓国に負担の共有を求めていることに関連し、「国防費を増額する」と強調した。ただ李政権は、主要な貿易相手国である中国を刺激したくないのが本音だ。
李氏は「台湾と中国がけんかしようが、私たちとは何の関係もない」と述べたことがある。だが「台湾有事は日本有事」と言われる。中国が台湾を侵攻すれば周辺国の日本や韓国も甚大な影響を受けることは必至だ。
日本は連携を深めよ
対中抑止のためには、日米韓が連携を深めていくことが不可欠だ。「米国第一」のトランプ政権、北朝鮮や中国に融和的な李政権と共に3カ国の枠組みを強化するには、日本の役割が重要になるだろう。ただ衆院選と参院選で大敗し、衆参両院で与党過半数割れを招いた石破茂首相が、こうした課題に適切に対処できるか疑問だ。自民党の参院選総括後の首相辞任と速やかな新首相の選出を求めたい。





