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アフリカ会議 経済成長と安定に貢献を【社説】

第9回アフリカ開発会議(TICAD9)閉幕の記者会見に臨む石破茂首相(右から3人目)ら=22日午前、横浜市西区

日本政府が主導し、アフリカの発展について議論する第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が横浜市で開催され、人工知能(AI)を含むデジタル技術活用や重要鉱物の安定供給などの協力策をまとめた「横浜宣言」を採択した。アフリカ諸国との関係を強化し、経済成長と安定に貢献すべきだ。

首相が新経済圏を提唱

宣言は「経済」「社会」「平和と安定」が3本柱。「経済」では、「アフリカのデジタル変革を推進する」として、AIを含むデジタル技術の活用に向けた環境整備の必要性を強調した。「社会」では、人材育成に関し「全ての人が質の高い教育を受けられるよう支援する」と記述。「平和と安定」では、「民主主義および法の支配がアフリカの持続可能な開発、平和および安定の基盤となる」とした。

新興・途上国「グローバルサウス」の一角をなすアフリカは、世界経済の「最後のフロンティア」として注目されている。石破茂首相は、銅鉱石の産出国である内陸部ザンビアからアフリカ東岸に出る「ナカラ回廊」の整備を進める考えを示した。独自の支援で重要鉱物の供給網を強化する狙いがある。日本にとって経済安全保障の観点からもアフリカの存在は重要だ。

ただ、これまでのアフリカとの経済関係構築は十分とは言えなかった。2023年の日本からアフリカへの直接投資残高が約80億㌦であるのに対し、英国は580億㌦、米国は560億㌦、中国は420億㌦と大きな差がついている。

特に中国は、巨大経済圏構想「一帯一路」の一環としてアフリカで巨額のインフラ整備を進めている。しかし、支援国に多額の借金を負わせて影響力を強める「債務のわな」は国際社会で批判を浴びている。アフリカ諸国が、共産党一党独裁体制を敷く権威主義国の中国に取り込まれれば、持続可能な発展を実現することは難しい。

石破首相はインドや中東を含めた新経済圏構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱。「インド洋を囲む国々と共にアフリカの域内統合、産業発展に貢献したい」と狙いを語った。このためには、経済関係の強化はもちろん、民主主義的価値観を浸透させることが欠かせない。

TICADは1993年に東京で初めて開催された。2016年にケニアで開かれたTICAD6では、当時の安倍晋三首相が「自由で開かれたインド太平洋」を初めて打ち出した。インド洋と太平洋に面したアジアとアフリカを結ぶ地域の経済成長と安定を目指し、安倍氏は「力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育てる」と演説した。横浜宣言では「自由で開かれたインド太平洋」に「好意的に留意する」と記した。

中国の脅威に対処せよ

アフリカを含むインド太平洋の繁栄には、覇権主義的な動きを強める中国の脅威に対処し、地域の安定強化を図る必要がある。日本と米国、オーストラリア、インド4カ国の協力枠組み「クアッド」は、欧州や東南アジア諸国とも連携し、中国を牽制(けんせい)すべきだ。

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