トップオピニオン社説日韓首脳会談 米と共に対中包囲網強化を【社説】

日韓首脳会談 米と共に対中包囲網強化を【社説】

会談を前に、韓国の李在明大統領(左)と握手する石破茂首相=23日午後、首相官邸(代表撮影)

石破茂首相は韓国の李在明大統領と会談し、合意文書を発表した。この中で両首脳は「1965年の国交正常化以来これまで築かれてきた日韓関係の基盤に基づき、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致した」と述べた。

李政権の「実用外交」

これは当時結ばれた基本条約・請求権協定が両国関係の基本であるとの認識を示したものだ。韓国で政権が代わるたびに、前政権との約束が覆されることが多かっただけに、李氏の態度表明は安定的な日韓関係を築く上で極めて重要であり、今後も揺るがないことを期待する。

李氏が訪米を前に日本との首脳会談を行ったのは「異例」と受け止められている。これは日本を「グローバル複合危機の中で共同課題に対応できる重要なパートナー」と位置付け、トランプ米大統領の関税措置、安全保障要求などに共同で対処していこうという李政権の「戦略的選択」があったとみられる。「実用外交」が発揮された場面だ。

北朝鮮が核・ミサイル開発を諦めていない状況で、ロシアとの軍事協力を進めるなど東アジアの緊張は続いており、合意文書で拉致問題も含めて共同対処していくことを確認したのは意義がある。一方、共同課題の中に「台湾海峡危機」が含まれていなかった。両首脳の中国の脅威への関心の薄さをトランプ氏はどう見るだろうか。

特に李氏は台湾問題に関して「われわれに何の関係もない」と突き放した言い方をしたことがある。この後トランプ氏との会談を控えているが、米政権にとって東アジアの課題は中国一本だ。対中包囲網形成で韓国は「弱い輪」の一部だとみられている。日本が役割を果たせるとすれば、対中認識を一つにして日米と協力体制を組んでいけるよう韓国に働き掛けることだ。

石破首相と李氏の合意は「第2の小渕恵三・金大中パートナーシップ宣言」とも評価される。日本で対中融和政策を取る政権の時、また韓国で左派政権の時、両国関係が比較的良好な傾向を見せてきた。尹錫悦政権は例外としても。その間、政治問題は穏便に処理され、民間交流も促進されたのは事実だ。逆に両国とも「本来の姿を取り戻し」いわば民族主義的傾向に比重を置いた時は激しく衝突して関係を悪化させた。

今の「石破・李」の日韓体制ではもめ事を起こさないモメンタムが働いている。だが、これは逆の政権がそれぞれ立った時には埋められていた問題が一斉に吹き出す可能性があることを示す。すなわち「慰安婦」「徴用工」問題、歴史認識など引火性の高い諸課題は残されているのだ。既に解決している徴用工補償の「第三者弁済」でも韓国は依然「日本の役割」を待っている。この日韓の認識の差は埋めることが難しい。

共通課題立て協力を

だとすれば、これをいかに管理していくか。現在のところ石破・李両政権は共通課題を立てて協力していこうという姿勢だ。今後双方で政権が代わったとしても、シャトル外交を続けながら、これが維持されていくことが両国関係を安定化させ、発展させていくことになる。

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