トップオピニオン社説「もがみ型」選定 日米豪の安保連携を深めよ【社説】

「もがみ型」選定 日米豪の安保連携を深めよ【社説】

海上自衛隊の護衛艦「もがみ」=2022年11月、神奈川県沖の相模湾

オーストラリア政府が、次期海軍フリゲート艦新造計画で海上自衛隊護衛艦「もがみ型」改良型を選定した。

インド太平洋における中国の急ピッチとも言える軍事的進出をにらんだものだ。これまでの2国間協力から日米豪の複合的な安全保障の連携が進むものとして歓迎したい。

官民協力の実上げる

豪政府の計画は、最大11隻の新型フリゲート艦の導入で日本円で1兆円規模になる。日本にとっても過去最大規模の防衛装備品の輸出となる。

もう一つの有力な選定候補だったドイツを抑えた背景には、従来の半分の約90人の乗組員で運用できる点や、米軍と相互運用可能な対空・対艦ミサイルを搭載できるなど、日米豪の円滑で切れ目のない協力を重視したからだろう。

もちろん、この採用は日本側の官民挙げての努力も大きい。前回の潜水艦の受注競争ではその性能が高く評価されながらも最終的に外れた。長く武器輸出三原則に縛られ、緩和されたもののその経験不足は否めず迅速な対応ができなかった反省が教訓となった。また、米軍ももがみ改良型を強く推していたとされる。

マールズ豪国防相は「豪海軍にとって最良の能力となる」と強調し、2029年の受領へ契約作業を急ぐ方針という。日豪関係は、外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」が07年以来11回にわたって定期的に開催されており、それを反映して自衛隊と豪軍との共同訓練も進んでいる。装備の調達・補修も含め地勢的に両国の関係強化は当然だ。

中国の海軍は従来の沿岸型から外洋型へと急速な変貌を遂げつつある。特に、南太平洋をはじめ太平洋への軍事的進出が著しい。

豪州にとっても、その対策は死活的な問題となってきた。今回の護衛艦導入選定に先立ち、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で導入を計画する原子力潜水艦と併せ、海洋防衛の柱に据えることになろう。

このインド太平洋地域ではかつて冷戦時代、旧ソ連の軍事的覇権に西側諸国は包括的な対応を迫られた。

ANZUS条約は豪州、ニュージーランド、米国による同地域の集団的自衛権に基づく軍事同盟だったが、1980年代に米側にはこれに日本を加えた「JANZUS」構想があったとされる。

対潜水艦戦能力に期待

冷戦後、旧ソ連に代わって台頭した中国でもこうした基本構図は変わっていない。むしろ情勢は深刻化している。ロシアがオホーツク海に戦略核ミサイル搭載原子力潜水艦を配備して聖域化したのと同様に、中国は南シナ海の聖域化を急いでいる。米国東部はもちろん豪州もその射程内に入る。日本は特に対潜水艦戦能力が世界的にも高く評価されている。

日本としても自国の防衛に照らして、こうした多層的な安全保障の積み重ねが必須となってきた。豪政府の護衛艦選定はそれを担保する大きな一助となるのは間違いない。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »