
参院選挙の結果を受けて召集された第218臨時国会が5日に閉幕した。選挙での与党惨敗を受けて石破茂首相の進退問題、日米関税交渉、戦後80年「見解」、物価高騰対策などを巡り質疑が交わされたが、首相は答弁を通じて続投の意思をにじませた。だが、有権者のあからさまな審判を受けた敗北政権の延命に手を貸すような国会が今後も続くことは願い下げだ。
立民は不信任案提出せず
衆院選も過半数割れ。参院選も過半数割れ。わずか1年足らずのうちに衆参の安定多数を棒に振る歴史的大敗を喫した首相がなお続投するという、異例な政治状況の中で臨時国会が開かれた。会期5日間にすぎないが、衆参両院で予算委員会を開き集中審議が行われた。
本来、野党第1党の立憲民主党は政権交代の好機とするはずだが、その気勢が上がらない。参院選では議席が増えず22議席だったが、そのうちの1議席は東京選挙区7番目当選の補欠選枠で任期は3年。事実上、21議席と半分という微減であり、比例票では国民民主党、参政党に抜かれた。内閣不信任決議案の提出を早々と諦めている。
立民の野田佳彦代表は4日の衆院予算委で、戦後80年「見解」について、「何らかのコメントを出すべきだ」と促し、企業・団体献金見直しなど政治改革では「私と協議し合意する気はないか」と誘った。
首相はこれに応じることを即答し、立民との関係構築により今後の国会運営を図る構えを見せている。しかし、立民にとって選挙で敗北を繰り返す首相は好都合との意図が透けて見える。大敗した与党と支持が伸びない野党第1党が弱者連合を組んでサバイバルする国会は民意と離れていないか。
また集中審議の主要なテーマとなった日米関税交渉を巡る質疑では、トランプ米政権が日本に対する相互関税の税率を25%から15%に引き下げた日米合意について、合意文書がないことが問題となった。首相は文書作りをすることで関税率引き下げが「遅れることを一番恐れている」と釈明したが、よく詰められていないうちに参院選惨敗の結果に被(かぶ)せて見切り発車で発表したことになる。参院予算委では米国の関税措置への対策として補正予算案編成の必要性を唱え、秋の臨時国会までの延命に布石を打っている。
自民党内では総裁選前倒しの「リコール」を求める署名運動が進行しており、また就任以来の選挙惨敗に石破氏の引責辞任を求める声は後を絶たない。が、石破氏や森山裕幹事長ら党執行部はなおも続投を模索しており、8日に予定される同党の両院議員総会での「石破降ろし」の行方が注目されている。
自民は新たな総裁立てよ
これを牽制(けんせい)する首相答弁の連発だった。衆院予算委で国民民主の玉木雄一郎代表は首相にいつまで続投するか質(ただ)したが、「いつなのかは断定できない」と述べ、石破氏は首相に居座ることに固執している。だが、部分連合は所々野党の言いなりになる。衆・参院選での有権者の審判を正しく受け入れ、自民は新たな総裁を立て、他党と連立交渉を進めていくべきだろう。





