トップオピニオン社説シー・シェパード 「法の支配」歪めた手配解除【社説】

シー・シェパード 「法の支配」歪めた手配解除【社説】

フランスに本部を置く国際刑事警察機構(ICPO)は、日本の調査捕鯨に対する妨害行為で国際手配された反捕鯨団体シー・シェパード(SS)創設者ポール・ワトソン容疑者について、身柄拘束を求める「赤手配」の削除を決定した。

ICPOの決定は「法の支配」に反するもので受け入れることはできない。日本政府は再び「赤手配」を行うよう強く要求すべきだ。

反捕鯨国が釈放求める

海上保安庁は2010年4月、南極海で調査捕鯨船「第2昭南丸」の業務を妨害したとして、傷害や威力業務妨害など四つの容疑でワトソン容疑者の逮捕状を取り、ICPOは同年6月に国際手配した。当初は所在発見を要請する「青手配」だったが、12年9月に拘束を求める「赤手配」に切り替えた。

ワトソン容疑者は10年2月、SS元船長のニュージーランド人に指示し、第2昭南丸に強い異臭のする酪酸入りのガラス瓶を投げさせて乗組員の顔に熱傷を負わせた。このような危険な行為は断じて許されない。ワトソン容疑者に法の裁きを受けさせなければならない。

ところがデンマーク領グリーンランドの警察が昨年7月に拘束したにもかかわらず、当局の判断で同年12月に釈放した。背景には、フランスなど反捕鯨国を中心に早期釈放を求める動きが広がったことがある。フランスのマクロン大統領は日本への引き渡しに反対し、デンマークに圧力をかけた。

釈放後、ICPOによる適切な個人情報処理の確保を担う「ファイル管理委員会」がワトソン容疑者の要請を受け、国際手配を一時停止。最終的に手配を解除した。

しかしワトソン容疑者は犯罪を犯したのであり、捕鯨に反対か賛成かにかかわらず法に基づいて対処すべきだったはずだ。感情論で「法の支配」の原則を歪(ゆが)めた反捕鯨国の責任は極めて重い。釈放後、ワトソン容疑者が「政治的動機による冤罪だった」などとSNSに投稿しているのも、自らの妨害行為を正当化するもので見過ごすことはできない。

日本の調査捕鯨は1987年に始まった。もともとはクジラの資源保護と持続的な利用のために48年に設立された国際捕鯨委員会(IWC)は、環境保護機運の高まりを受け、82年に商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を採択。調査捕鯨は商業捕鯨の再開を目指しデータ収集を目的とするものだったが、反捕鯨国との対立解消が見込めず、日本は2019年6月にIWCを脱退して商業捕鯨の再開に踏み切った。

国際社会に理解広げよ

クジラの肉は高タンパク質、低脂肪、低カロリーで、ビタミンAや鉄分、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの栄養素が豊富に含まれる健康的な食品だ。家畜と比べて飼料や水、土地を必要としないため、環境負荷も低い。

食料危機に備える上でもクジラの存在は重要だ。捕鯨に対する妨害を許さないためには、こうした理解を国際社会に広げていく必要もある。

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