参院選は「1票の格差」が是正されておらず、投票価値の平等を定めた憲法に違反するとして、弁護士グループが全45選挙区の選挙無効を求める訴訟を全国14の高裁・支部に起こした。
地方の過疎化と都市への人口集中が進む中、格差をなくすには憲法改正による選挙制度の抜本改革が必要だ。
参院選で最大3・13倍
投開票日の有権者数を基にした試算では、議員1人当たりの有権者数は、最も少なかった福井県選挙区の30万8428人に対し、最多は神奈川県選挙区の96万5500人だった。1票の格差は3・13倍となり、最大格差が3・03倍だった前回2022年の参院選から拡大した。
最高裁は14年11月、1票の格差が最大4・77倍だった13年参院選を「違憲状態」と判断。これを受けて公職選挙法が改正され、「島根と鳥取」「徳島と高知」を一つの選挙区にする合区の導入などで格差は3倍ほどに縮まった。
しかし、合区の地域では投票率が低下している。今回の参院選で投票率が最も低かったのは徳島県の50・48%だった。合区導入直後の16年参院選は高知県、その後は3回連続で徳島が最低を記録している。地元の候補がいなければ関心が低下し、投票所にも足を運ばなくなるのは当然だろう。
投票価値の平等の確保は確かに重要だが、現行の選挙制度のままでは、今後も地方の人口が減少した場合、合区を増やさなければならなくなる。これでは政治に地方の声が反映されにくくなることは明らかだ。
解決には選挙制度の抜本改革が求められる。与野党各会派でつくる参院改革協議会は今年6月、合区解消を提言する報告書をまとめ、参院議長に提出した。選挙制度に関する各会派の意見について①都道府県単位の選挙区および全国比例の維持②ブロック制の導入――に大別されると明記。ただし「現時点では意見の集約が困難だ」と記載した。①は自民、立憲民主、国民民主、②は公明、日本維新の会、共産各党が主張している。ブロック制は中堅政党が勢力拡大を図りやすいとされている。
一方、自民は改憲4項目の一つとして合区解消を掲げ、現憲法が「全国民の代表」と定める参院議員を「地域の代表」とする改憲での対応を提案している。改憲を目指すのであれば、衆参両院議員の位置付けはもちろん、両院の役割分担も明確にしなければならない。
各州に議員を割り当てる選挙制度の米上院は、下院と比べ、条約の承認や政府高官の任命承認など外交や人事に関する権限が強い。こうした仕組みも参考にすべきだろう。
自民は論議を主導せよ
自民、公明、維新、国民民主の「改憲勢力」は現在、衆参とも改憲に必要な3分の2に達していない。実現はすぐには難しいとしても、独自の憲法案を示している参政党も勢力に加え、機運を醸成する必要がある。
改憲を巡っては合区解消のほか、戦力不保持、交戦権否認を定める9条の改正や緊急事態条項の創設も課題だ。改憲を党是とする自民は、論議を主導しなければならない。






