
石破茂首相(自民党総裁)は参院選で自民、公明の与党が大敗した後も続投する意向を示している。しかし今回の敗北で、与党は衆参両院で過半数を割り込む結果となった。これは1955年の結党以来初めてで、自民は結党70年の節目の年に厳しい審判を受ける結果となった。首相は民意を尊重してすぐに辞任すべきだ。
自民両院懇で続投表明
首相は自民の両院議員懇談会で「国家国民に対し、決して政治空白を生むことがないよう責任を果たす」と続投する決意を表明。「一切偽りのない心で国家国民のために尽くす。その思いでこれから先、臨んでいきたい」と理解を求めた。
だが石破政権下で行われた昨年10月の衆院選で与党は過半数割れし、今年6月の東京都議選も自民は過去最低の21議席にとどまった。首相ら執行部の責任を問う声は強い。出席者から退陣を求める声が相次いだのは当然だろう。小林鷹之元経済安全保障担当相らは「即刻退陣すべきだ」と迫った。
与党大敗の大きな要因は、安倍政権を支えた「岩盤保守層」が自民から離れたことだ。2023年に岸田前政権下でLGBT理解増進法が制定されたことで保守層の批判を招き、今回の参院選比例代表で自民の得票率は22年の前回から12・8ポイント減らして21・6%に落ち込み、1983年の比例代表導入以来最低を更新した。
石破首相も、家族制度を揺るがす選択的夫婦別姓制度の導入について自民内の意見集約ができず、今回躍進した国民民主党や参政党に保守層の票を奪われた。保守系団体「日本会議」は与党過半数割れについて「リベラル化した自民に保守層がノーを突き付けた結果」だとする見解を示している。
自民には健全な保守の理念に基づく解党的出直しが求められる。そのためには大型選挙で3連敗した首相の辞任が欠かせない。党内の一部からは続投を支持する声も上がっているが、民意を無視する上、党の結束は得られまい。政権基盤の弱い首相が、トランプ米政権の高関税措置や厳しい安全保障環境などの「国難」に適切に対処することも困難だろう。
一方、森山裕幹事長は8月中にまとめる参院選の総括後の進退に触れ、引責辞任する意向をにじませた。先の通常国会は、衆院で少数与党でも政策ごとに野党と連携する「部分連合」で乗り切ったが、これは野党各党にパイプを持つ森山氏によるところが大きいとの指摘もある。
ただ参院選でも大敗した以上、与党は国会で立ち往生しかねない。石破氏と共に幹事長も速やかにやめなければなるまい。本来であれば、両氏は共に昨年の衆院選大敗で身を引くべきだった。総括は新しい執行部に任せ、けじめをつける必要がある。
国難突破する新首相を
国民民主や参政が参院選で議席を増やし、国会は「多党化」が進んだ。首相が交代してもいばらの道は避けられないが、米国の高関税措置の影響を最小限に抑え、安保体制を強化するため、野党の協力を得て国難を突破する指導力が求められる。





