
米大リーグで通算3089安打を放ち、アジア人初の米野球殿堂入りが決まったイチローさん(本名鈴木一朗)らの表彰式典が開催された。
英語で行われたイチローさんのスピーチは、野球愛と偉業の背景にある精神・哲学を示すものだった。
アジア人初の米殿堂入り
イチローさんは「きょうここにいられるなんて、素晴らしい夢のようだ」と述べた。実際2001年にイチローさんが日本人野手として初めて大リーグに挑戦した時、それを想像した人がいただろうか。細身の体格の日本人打者が通用するのかとの見方もあった。
しかしイチローさんは、結果でそんな先入観を覆してきた。01年にマリナーズに入団、卓越した打撃技術とスピードでこの年、首位打者と盗塁王を獲得、アメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)と新人王に輝いた。
以後、史上初の10年連続200安打、打率3割、オールスター出場を果たした。04年にはシーズン最多記録を84年ぶりに更新する262安打で2度目の首位打者にも輝いた。
守備でも10年連続ゴールドグラブ賞を受賞。外野から矢のような送球で相手ランナーを刺す「レーザービーム」はイチローさんの代名詞にもなった。
このように走攻守のいずれにおいても超一流の活躍を長期にわたって続けられた背景に、日頃の練習や入念な体調管理があったことはよく知られている。さらに、スピーチでは「ファンが大切な時間を割いて見に来てくれるのだから、選手にはその期待に応える責任がある」という基本的な心構えを明かした。
チームや選手個人が自身の能力と努力で勝利を手にしアメリカンドリームを達成し、それをファンも讃(たた)え喜ぶのが大リーグの文化だ。イチローさんはそんな大リーグ文化に溶け込みながらも、一味違ったプロ野球選手としての在り方を示した。
アジア人として初めて大リーグの超一流選手と肩を並べたというだけでなく、その中でもイチローさんがユニークな存在感を持つ選手であることは式典でもはっきりと表れた。ニューヨーク州クーパーズタウンで開かれた式典では、同時に殿堂入りを果たしたCC・サバシアさん、ビリー・ワグナーさんよりもひときわ大きな拍手声援が送られ、スピーチの後にはスタンディングオベーションで「イチローコール」が起こった。
ジョークも交えながらのスピーチはイチローさんが米国の野球文化をしなやかに身に付けていることを思わせる。一方で「信念を貫けば乗り越えられる。私の義務は開幕日から162試合目まで同じ情熱でプレーすることだと思っていた」と独特の野球哲学を語った。その野球人生を陰で支えてきた妻の弓子さんへの感謝も忘れない。
日本人選手の活躍を期待
また、1995年にドジャースへ入団し、日本人選手として大リーグへの扉を開いた野茂英雄さんに対して「想像したこともなかった挑戦のアイデアに目を開かされた」と感謝を述べた。大谷翔平選手はじめ、多くの日本人大リーガーがイチローさんに続くことを期待したい。





