東京都八王子市のスーパーで3人が射殺された事件から、あすで30年を迎える。捜査当局は事件を決して風化させることなく、犯罪を犯せば必ず法の裁きを受けることを犯人逮捕によって示してほしい。
女子高校生ら3人犠牲に
1995年7月30日夜、八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で、パート店員の女性とアルバイトの女子高校生2人の計3人が至近距離から銃撃されて殺害された。警視庁はこれまで延べ22万人以上の捜査員を投入してきたが、犯人逮捕には至っていない。この間、2010年には殺人事件の公訴時効が撤廃されている。
09年には、事件で使われた銃弾と似た線条痕の拳銃が都内の暴力団組員宅から押収された。しかし組員は関与を否定し、拳銃の流通ルートもはっきりしていない。13年には、実行犯を知る可能性があるカナダ在住の中国人の男を旅券法違反容疑で逮捕し、日本へ移送したが、男は「何も知らない」と多くを語らないまま、裁判を終え出国した。
事件の起きた1995年は、3月にオウム真理教による地下鉄サリン事件が発生し、5月に教団元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚=2018年に刑執行=が逮捕された。警視庁捜査1課員の大半がオウム捜査に投入される中、八王子の事件の初動捜査が十分ではなかったとの指摘もある。
現場には防犯カメラも、血痕などの犯人のDNA型もなかった。突破口となる証拠の乏しさに加え、事件を知る関係者が亡くなるなど、時間の経過も捜査を難しくさせている。
だが、事件を風化させるわけにはいかない。この事件では、わずか数分で至近距離から女性3人の頭を撃ち抜くなど残忍な手口が際立つ。こうした凶悪犯の「逃げ得」を許すことはできない。1996年9月の上智大生殺害や2000年12月の世田谷一家4人殺害などの凶悪事件も未解決のままだ。警察は威信をかけて犯人を逮捕し、罪を償わせなければならない。
近年は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の台頭で体感治安が悪化している。闇バイトによる強盗事件の中には住人が殺害されたケースもある。闇バイトかどうかを問わず、凶悪犯罪を防止するには摘発を強化する以外にはない。特に闇バイト強盗には、捜査員が架空の身分証を使って応募する「仮装身分捜査」などの新しい手法も生かして対処し、国民の安心・安全を取り戻す必要がある。
冤罪なくす厳正な捜査を
一方、1986年の福井中3殺害事件では、殺人罪が確定して服役した男性の再審で名古屋高裁金沢支部が無罪を言い渡した。事件で有罪判断の根拠となった知人らの目撃証言については「捜査機関が不当に誘導した疑いがあり、信用できない」などとした。
警察が犯人逮捕に尽力するのは当然だが、冤罪(えんざい)が生じれば無実の罪を着せられた人の人生を奪うだけでなく、真犯人を検挙することも難しくしてしまう。これでは犯人扱いされた人はもちろん、被害者遺族もやり切れないだろう。警察や検察には厳正な捜査が求められる。





