トップオピニオン社説原発新増設調査 最大限の活用につなげたい【社説】

原発新増設調査 最大限の活用につなげたい【社説】

関西電力は原発の新増設に向け、美浜原発が立地する福井県美浜町で地形や地質の調査を行うと発表した。

2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以来、国内で原発新増設が具体化するのは初めてだ。原発の最大限活用につなげてほしい。

「革新軽水炉」を想定

関電は今後、地元への概要説明を経て速やかに調査を開始。建設可能と判断すれば、原子力規制委員会に設置許可などを申請する。美浜原発は1、2号機の廃炉が決まっており、現在稼働している3号機は来年、運転開始から50年を迎える。関電は10年、美浜町に新たな原発を建設する方針を発表したが、原発事故を受けて計画は中断していた。長らく見合わせていた現地調査の再開を歓迎したい。

国内での原発の新設は、09年12月に稼働した北海道電力泊原発3号機を最後に行われていない。関電は「革新軽水炉」と呼ばれる安全性を高めた次世代原発を想定している。九州電力も5月に発表した35年までの経営ビジョンで、次世代革新炉の設置に向け検討を進める方針を表明した。こうした動きが広がることが期待される。

もっとも建設が現実味を帯びれば、巨額の資金調達だけでなく、地元自治体や住民の理解を得ることも大きな課題となる。原発新増設を軌道に乗せるには国が主導する必要がある。

政府は今年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、原発を最大限活用する方針に転換。40年度の発電量に占める原発の割合を、建設中を含む36基のほぼ全ての稼働を前提に2割程度とする目標も設定し、次世代炉の開発に取り組む方針も盛り込んだ。生成AI(人工知能)の活用拡大でデータセンターの増設が進んだ場合、50年の電力需要は19年比で最大4割増加すると試算されており、原発の積極活用はこれに備える狙いがある。

内閣府の原子力委員会が6月に公表した24年度版原子力白書は、ロシアのウクライナ侵攻などに伴う化石燃料の価格高騰に対応するには「安全最優先を大前提としつつ、原子力の活用も進めていくことが有効」との見方を示した。これは、原発が稼働している関西の方が稼働していない関東よりも電気料金が安く、企業や家計の負担を軽減していることを見ても分かる。

また発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発は、脱炭素社会の構築にも欠かせない電源だ。さらに原発で使われるウランは、少ない量で大きなエネルギーを生み出すことができ、発電を長時間継続できるため、準国産エネルギーとも呼ばれる。エネルギー安全保障の観点からも原発の最大限の活用が求められよう。

核燃サイクルの確立を

原発を利用し続けるには、核燃料サイクルの確立も避けられない。原発から出る使用済み核燃料の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成が急がれる。

再処理後に残る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定も課題だ。北海道寿都町と神恵内村、佐賀県玄海町が応募したが、国はその必要性や安全性について国民の理解を得なければならない。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »