トランプ米大統領の2期目就任から半年が経過した。メディアから執拗(しつよう)な批判にさらされ、また、前政権下で訴追の連打を浴びながらも、岩盤支持層の揺るがぬ支援で復権を果たすと、軋轢(あつれき)をものともせず公約を大胆に推し進めている。
対日関税15%に引き下げ
米国を再び偉大な国に(MAGA)――を標語に掲げ、1期目にコロナ禍に見舞われ現職からの再選を逃したトランプ氏だが、昨年の大統領選では2度の暗殺未遂を乗り越え、当選を果たした。共和党は上下両院で多数を占め、1月に復権したトランプ氏の政権基盤は堅い。
公約の実行では、反発を招きながらも結果を出している。1期目に北大西洋条約機構(NATO)諸国の防衛費負担の増額を求めた際には反感を招いたが、ロシアのウクライナ軍事侵攻が起き、トランプ氏はNATOの同盟国に国内総生産(GDP)比5%の防衛費を要求し、これを実現させた。
トランプ氏の手法は強気の交渉で主導権を握るものだ。相互関税を貿易相手国に課す通商政策では、相手国から有利な条件を引き出し、税率を決める取引をする。わが国との交渉では5500億㌦の対米投資、コメ、自動車の市場開放などを条件に当初通知した25%から15%に引き下げた。恒久減税の法律も成立し、公約を果たしている。
目玉公約の不法移民対策は年間100万人の強制送還を目標に行われている。強制捜査による不法滞在者の拘束が市民の反発を呼び、ロサンゼルス市で暴動が起きて州兵や海兵隊を投入したケースもある。国境の取り締まりは強化され、不法移民流入は急減した。
安全保障政策では、画期的な次世代ミサイル防衛システム構想「ゴールデンドーム」の開発に着手、2029年までの3年間に1750億㌦の予算投入を発表した。極超音速ミサイルへの対応を急いでいる。
公約実現が厳しくなっているのがロシアとウクライナの和平だ。仲介の甲斐(かい)なく就任後半年を区切りに、ウクライナへの新たな武器供与を発表。またイスラエルとパレスチナ自治区ガザを拠点とするイスラム組織ハマスとの紛争は、イスラエルとイランとのミサイル攻撃の応酬にまで飛び火し、イランの核施設破壊に米国も協力して攻撃をした。戦火拡大を抑制すべきだ。
就任演説では「常識の革命」という言葉を用いて宗教的価値観を阻害する急進左派的政策を転換した。また、就任当日に「性別は男性と女性」とする大統領令を発し、米政府の公式政策とした。米国オリンピック・パラリンピック委員会は21日、トランスジェンダー選手の女子競技参加禁止を発表した。
宗教に根差した精神復興
MAGAには、強力な軍事力、経済力を持つ超大国に再びなるとの意思が読み取れるが、トランプ氏が最初に着手したことの一つはキリスト教を重視し、その活動を擁護する措置だ。ホワイトハウスに「信仰局」を新設し、さらに「宗教の自由委員会」を立ち上げた。「トランプ革命」の根幹には、宗教に根差した精神復興があることを見落としてはならない。






