トップオピニオン社説与党過半数割れ 「石破自民ノー」が民意だ【社説】

与党過半数割れ 「石破自民ノー」が民意だ【社説】

参院選から一夜明け、記者会見する自民党の石破茂総裁(左端)=21日午後、東京・永田町の同党本部

第27回参院選が投開票され、与党の自民、公明が大幅に議席を減らし、過半数割れとなった。昨年の衆院選での過半数割れに続く国政選挙2連敗だ。衆参両院で少数与党になったことは、明らかに「石破自民党ノー」が民意であることを示している。石破茂首相は会見で続投を表明したが、結果を謙虚に受け止め、早急に新たな総裁選びと新首相選出に舵(かじ)を切るべきだ。その上で、新たな政権の枠組みを構築すべきである。

安倍路線からの離脱

今回、与党が獲得した議席は47。過半数に必要だった50議席に3議席足りない結果となった。敗北の最大の理由は、岸田前政権の時から崩れだした保守岩盤層を修復し取り戻すことができなかったことだ。その保守票の多くが結党5年で14議席獲得へと躍進した参政党に流れた。

参政は、選択的夫婦別姓制度の導入反対、LGBT理解増進法の撤回やスパイ防止法案の国会提出などを掲げたが、それに明確に同調できない自民への不満の受け皿となった形だ。自民は憲法改正の訴えも弱かった。安倍晋三元首相が岩盤層を築いてきた路線から離脱し、理念のない「納得と共感」という世論迎合路線に傾斜したことで崩壊現象は今も続いている。

トランプ米大統領との関税交渉に関し「国益を守る。なめられてたまるか」と演説したこと自体、なめられていることを裏付けた。招待されていた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に欠席せず、トランプ氏と会談し、関税交渉に絡めて北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との再会談を促し、拉致問題の解決を約束させる。そうした多角的な交渉の姿勢を見たかった。

政権運営の前途は、首相自らが「いばらの道」と語るように極めて厳しい。首相は「比較第1党をいただいた」とし、「続投して責任を果たす」と語った。そのためには、連立政権の枠の拡大が必要だろう。しかし、「石破不信任」で一致している野党各党を一本釣りで引き込むのは難しい。改選4倍増に躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表は「石破政権と組むことはあり得ない」と突き放している。参政も消極的だ。

首相は「党派を超えて協議を呼び掛けていく」とし、「熟議の経験を生かして一致点を見いだし優れた政策を作り上げていく」とも語った。つまり先の国会と同様に、国民民主、日本維新の会や立憲民主党などと個別の政策で協議し、それぞれの案を丸のみして法案を作り上げていく手法だ。しかし政権の延命を前提にした協議となれば妥協に次ぐ妥協の産物になり、ますます政治不信を増しかねない。

基盤が弱く、何事も決められない政権に対して、覇権主義の中国がわが国の領海・領空を侵犯して揺さぶりをさらに強める可能性がある。米国との同盟関係にも悪影響が出かねない。国際安全保障情勢が激変する中、国際社会から評価される対応ができるのかも懸念される。

新総裁が交渉着手を

政局の流動化は避けねばならない。野党各党に連立への参加あるいは協力を促すためにも、新たな総裁が連立の枠組み拡大の交渉に着手すべきである。

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