
文部科学省は今年4月に実施した小学6年と中学3年が対象の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の正答率の平均値などを発表した。中学数学は48・8%で初めて5割を切った。中学国語の記述式問題は25・6%だった。3年ぶりに実施された理科では小学6年で57・3%と前回を下回った。
結果に一喜一憂するな
文科省は「毎年実施しているもので、出題傾向や難易度が異なり単純比較はできない」としている。「全国平均より上回った」「全国上位に躍進した」「なかなか下位から脱出できない」などと結果に一喜一憂することなく、児童・生徒は教師や保護者と一緒に得意、不得意を見極め、今後の学習に役立ててほしいものだ。
注目したいのはテストと共に行われる学習意欲や生活習慣に関するアンケートだ。さまざまな国際調査で「自己肯定感」が低いと言われる日本。点数として表れ、分かりやすい「認知能力」と共に、その土台となる協調心や自制心など「非認知能力」を向上させることを考えなければならない。
スマートフォン、パソコン、タブレット端末などで検索すれば、すぐに答えが出てくる。勉強より遊び、読書よりスマホと安直な方向に流れるのが人間の性(さが)である。端末で課題を調べる場合も簡単にデータが集まる。
現在の児童・生徒は、我慢強く最後まで長文を読み、理解することが難しくなってきている。生まれた時からスマホ、インターネット環境があったZ世代、α世代と言われる子供たちに必要なのは、忍耐強さや友達同士の援(たす)け合いなどだ。
中3理科が今回からコンピューター使用型(CBT)方式に移行した。従来の問題用紙が配布され解答用紙に鉛筆で記入する方式を変え、問題提示から解答、採点までコンピューター上で実施するようにする。段階的に移行し27年度は全面実施、筆記形式は廃止するという。学校教育において1人1台配備した学習用端末を利用した「GIGAスクール」という文科省の構想の下、Z世代、α世代の子供たちには当たり前の方式だ。
問題用紙や解答用紙の印刷・配布の手間がかからず、省力化・省資源化を進める風潮に適したものである。システムに正解の情報を入れておけばテスト実施直後に自動採点してその後の反復学習、自主学習に生かせるという利点がある。その一方で試験に使用する端末の不統一、地域や学校でのアクセス環境の進展具合、普及や習熟度の違いがあるのも事実。不正アクセスへの注意が必要などの問題点も散見される。
地方同士の競争避けよ
全国知事会では「4月初旬の学校現場が忙しい時期に毎年学力テストをする意味があるのか」「問題解答のテクニックを教えるだけだ」「都道府県の競争を強いている」という意見も出ている。7月末には詳細な分析結果、8月以降には都道府県別の結果が公表される。
学力テストの正答率や全国順位に一喜一憂することなく、子供たちが生涯にわたって学び抜く力を育むことが教師や保護者の責任であろう。






