
一般来場者数は累計1000万人を突破。日本国際博覧会協会が想定する来場者総数は2820万人で、まだ半数には届いていないものの、夏休みや会期終盤の大幅な増加も見込まれており、運営費の「採算ライン」の目安となる2200万人の達成は十分可能だろう。
SNSで関心広まる
開幕前は前売り券の販売枚数が伸び悩んでいたが、開幕後はSNS上での口コミなどを通じて関心が広まったことで好転。入場券は開幕から今月4日までに約585万枚を売り上げた。同日時点の売上総数は約1554万枚。販売枚数ベースで黒字化達成の目安となる1840万枚の8割超に達した。20年ぶりに国内で開催された大規模万博の盛り上がりを歓迎したい。
「万博の華」と呼ばれる海外パビリオンも人気だ。特に「月の石」を展示し、ロケット打ち上げを疑似体験できる米国館や、バチカン美術館所蔵のカラヴァッジョの絵画「キリストの埋葬」などを展示するイタリア館には多くの来場者が訪れている。
参加国が伝統や文化などを紹介するナショナルデーには、各国の国王や大統領らも来場している。今月19日の米国のナショナルデーには、ベセント財務長官が参加する予定だ。万博が国際交流を深める場ともなることを期待したい。
ただし、課題もある。「並ばない万博」を実現しようと来場日時やパビリオンのネット予約制を導入したが、海外パビリオンの多くは採用せず、長蛇の列ができている。
暑さへの対策も欠かせない。協会は来場者について「少なくとも1日平均13万人」を目指す方針だが、7月は暑さのために10万人に達しない日も少なくない。会場は日陰が少なく、熱中症で搬送される人もいる。ミスト付き扇風機などは設置されているが、通気性の高い素材の服の着用や、こまめな水分補給、冷却タオルの持参など来場者自身の対策も求められよう。
一方、万博の価値は来場者数や経済効果だけで測れるものではない。どのようなレガシー(遺産)を残せるかも問われる。
今回の万博の会場シンボル「大屋根リング」の閉幕後の活用については、北東の200㍍か海側の350㍍を「人が上れる形」で保存するための方法が議論されている。リングは世界最大の木造建築物で、京都・清水寺と同様に柱の穴に梁(はり)を通して格子状に組み立てる「貫工法」によって建てられた。東日本大震災の被災地である福島県浪江町で製造された建材も使われている。閉幕後も多くの観光客が利用できるようにしたい。
後世にインパクトを
1970年大阪万博のレガシーは、芸術家岡本太郎がデザインした「太陽の塔」だ。岡本は「とにかくべらぼうなものを作ってやる」と大変な意気込みで構想を練ったという。
大屋根リングは「いのち輝く未来社会のデザイン」という今回の万博のテーマを体現したものだ。太陽の塔のように後世の人たちにもインパクトを与えるものとしてほしい。





