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モンゴル御訪問 心の交流深められた両陛下【社説】

天皇、皇后両陛下はモンゴル・ウランバートル市内のホテルに到着し、在留邦人らの出迎えを受けられた=6日午後(代表撮影・時事)

天皇、皇后両陛下が8日間にわたってモンゴルを公式訪問された。戦後80年に当たり終戦後モンゴルに抑留され亡くなった日本人を慰霊され、要人から一般の人々まで親しく交流され、親善関係を深められた。

日本人慰霊碑で黙祷

両陛下の外国公式御訪問は即位後4回目。天皇陛下は皇太子時代の平成19年にモンゴルを訪問されているが、天皇、皇后の御訪問は初めて。

モンゴル入りされた両陛下は国賓として歓迎式典に臨まれ、フレルスフ大統領夫妻と会見。同じ日に首都ウランバートルにある「日本人死亡者慰霊碑」を訪れ供花し黙祷を捧げられた。終戦後旧ソ連の捕虜となった日本兵ら約1万4000人がモンゴルに移送され、ウランバートルの都市建設などに従事させられた。政府庁舎や国立大学の校舎、オペラ劇場などを建設する中、過酷な労働で約1700人が亡くなっている。

両陛下は現地で抑留者の遺族とも交流され、苦労をねぎらわれた。帰国後発表された感想で「心ならずも故郷を離れた地で亡くなった方々を慰霊し、そのご苦労に思いを致しました」とされ、「先の大戦で亡くなられた方々のことを忘れず、過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと改めて思います」と語られた。

戦後80年の今年、両陛下は4月に東京・小笠原諸島の硫黄島、6月には沖縄と広島を訪問されている。両陛下の慰霊の旅では、被爆地やかつての激戦地が注目されるが、これまであまり知られることのなかったモンゴルの抑留者に光を当てられた意味は大きい。

両陛下は、草原地帯で国民的なスポーツの祭典「ナーダム」の花形競技、競馬を観戦され、「モンゴルの豊かな歴史・文化や素晴らしい大自然を肌で感じることができました」と感想を述べられた。両国の親善に携わってきた人々を通し、「モンゴルの人々が日本に対して温かい気持ちを寄せて頂いていることを実感し、うれしく思いました」とも語られた。

騎馬遊牧文化という日本とは異質な文化を背景とするモンゴルだが、同じウラル・アルタイ語族に属し言語や文化のルーツを共有するところもある。とりわけ相撲文化は大きな共通点で、これを背景に大相撲ではモンゴル人力士が多数活躍し、6人のモンゴル出身横綱を輩出するに至っている。

大相撲などを通し、両国民の間には近しい親密な感情が流れている。両陛下の御訪問は、そのような両国関係を象徴するものであり、より深い絆で結び付けるものとなった。

戦略的な外交の展開を

林芳正官房長官は両陛下のモンゴル御訪問について「今回の御訪問により、モンゴルとの親密な友好親善関係の更なる増進に多大な成果を挙げられましたことは、誠に喜びに堪えない次第であります」とする談話を発表した。政府は、ロシアと中国に挟まれ、地政学的に重要な位置にあり、親日国であるモンゴルとの関係をさらに緊密なものとし、戦略的な外交を展開していく責任がある。

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