中国軍が再び危険な挑発に出た。防衛省は、東シナ海の公海上空で警戒監視中だった航空自衛隊の情報収集機に対し、中国軍の戦闘爆撃機が約30㍍の距離まで異常接近したと発表した。
こうした異常接近は6月にも太平洋上空で行われた。挑発を繰り返す中国への警戒を強めるべきだ。
空自機までわずか30㍍
防衛省によると、東シナ海の公海上空で警戒監視中だった空自のYS11EB情報収集機に、中国軍のJH7戦闘爆撃機が複数回接近した。水平距離で約30㍍、垂直距離で約30㍍まで近づいたという。いずれも空自機の右斜め下から近づいて追い抜いた後、旋回して再接近するなどしていた。一歩間違えれば衝突しかねず、極めて危険な挑発だと言えよう。
中国空母「遼寧」と「山東」は6月、中国が有事の際の防衛ラインと位置付けている東京・小笠原諸島と米領グアムを結ぶ「第2列島線」付近を航行。遼寧は初めて第2列島線を越え、2隻は台湾有事を想定した演習を行ったとみられている。この際、警戒監視中の海上自衛隊機P3C哨戒機に対し、山東搭載のJ15戦闘機が追尾して一時は約45㍍まで迫った。こうした異常接近が繰り返されることは断じて容認できない。
中国が挑発を強めるのは、関税交渉などで日米関係にきしみが生じていることが背景にあろう。トランプ米大統領は、8月1日に日本からの全ての輸入品に課す新たな「相互関税」の税率を25%にすると表明した。交渉期限は同日まで延長するとしている。
日本は交渉で国益を守り抜かなければならない。同時に、関税を巡る日米の対立が激化し、同盟が揺らぐようなことがあれば中国に足元を見られかねず、日本だけでなく米国の国益も損なわれる恐れがあることを米側に伝える必要がある。日米同盟は、故安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」を実現するための中核でもあり、石破茂首相は同盟の重要性をトランプ氏に強く訴えなければならない。
一方、北大西洋条約機構(NATO)の加盟各国は6月、防衛費を2035年までに対国内総生産(GDP)比5%に引き上げる目標で合意した。各国の防衛負担が軽過ぎると批判するトランプ氏の要求に応えることで、米国の欧州防衛への関与をつなぎ留める狙いだ。日本政府は防衛費を27年度に対GDP比2%とする目標を掲げているが、中国や北朝鮮、ロシアなどの脅威が高まる中、自主防衛力の一層の向上は避けられない。
参院選で改憲含む議論を
参院選では、安全保障政策も重要なテーマだ。日本の防衛力を強化するには「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とする憲法9条2項の改正が欠かせない。
安倍政権下では15年9月、従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を一部容認する安全保障関連法が成立したが、日米同盟を強化するには9条改正による全面容認も求められる。各党は選挙戦で防衛の在り方を論じ合ってほしい。






