
チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は後継者問題で、自らの死後に生まれ変わりを探す「輪廻(りんね)転生」に基づく後継者選定を継続すると明言。中国の介入を排除する姿勢を示した。
輪廻転生の制度存続表明
ダライ・ラマ14世は、90歳になるのを前に、チベット亡命政府が拠点を置くインドのダラムサラでの高位聖職者の会議にビデオで声明を寄せた。その中で、チベットの指導者や中国本土を含むアジアの仏教徒らから輪廻転生による制度存続を求める書簡が届いたと説明。自らが設立した財団が「転生者」を認定する唯一の権限を持ち、中国を念頭に「他のいかなる者も介入する権限はない」と述べた。
チベット仏教では、ダライ・ラマは死後に生まれ変わるとされ、高僧が転生者とされる少年を探し出してきた。1935年、チベットの農家に生まれた幼名ラモ・トンドゥプの14世も、4歳の時、高僧らのお告げなどによってダライ・ラマに認定された。14世の後継認定も、このような伝統に沿って行うことがはっきりと示された。
14世は2011年、伝統的な輪廻転生制度の存続に関し、90歳ごろになったら他の高僧らと相談し再検討するとしており、動向が注目されていた。今年3月に出版した自著では、後継者は中国ではない「自由世界」に生まれるとも記している。
6月には、後継問題で中国政府の干渉を受けるべきではないという「東京宣言」が採択されている。90歳を前に14世が、伝統的輪廻転生による後継選定と中国の介入排除を明言したことによって、今後中国政府との緊張が高まると思われる。
1989年にダライ・ラマに次ぐ地位の指導者パンチェン・ラマ10世が死去した際、ダライ・ラマ14世は当時6歳の少年を指名するが、少年は行方不明となり、中国政府は別の少年をパンチェン・ラマ11世に認定した。先月にはこのパンチェン・ラマ11世が習近平国家主席と面会し、習主席は宗教の中国化の促進を要望している。
ダライ・ラマ後継を巡って、中国政府は自分たちに都合のいい人物を国内から選定し、チベット統治に利用しようという思惑がある。中国政府は「宗教はアヘン」というマルクス主義の考えに基づき、宗教の本質的な価値を認めず、宗教への侮蔑的な姿勢を示している。
習政権はチベット自治区で、チベット族の漢族への同化政策を進めている。これに抵抗してきた著名な指導者トゥルク・フンカル・ドルジェ師がベトナムのホーチミン市滞在中に中国の諜報(ちょうほう)員と現地警察に拘束された後に謎の死を遂げた。今後、中国政府によるチベット仏教への弾圧が強化される恐れがある。
国際社会は厳しい監視を
後継者選定に関わる財団幹部は、ビデオ声明公表後の記者会見で「ダライ・ラマの健康状態は良好で、選定プロセスを進めよという指示は受けていない」と述べたという。
14世は6日、90歳の誕生日の祝賀式典で元気な姿を見せたが、今後中国が亡命政府に圧力を加え、後継選びに介入してこないよう、国際社会は一層厳しい監視の目を注ぐべきである。






