トップオピニオン社説BRICS 規模拡大も合意形成困難に【社説】

BRICS 規模拡大も合意形成困難に【社説】

ロシアや中国が主導する新興国グループ「BRICS」の首脳会議がブラジルのリオデジャネイロで開かれた。先進7カ国(G7)が自由や民主主義、法の秩序などの価値観で繋がっているのに対し、BRICSは新興国が主に経済的な利益で繋がっている枠組みだ。昨年はエジプトなど4カ国、今年はインドネシアも加わり加盟国は10カ国に拡大。世界人口の約半数、国内総生産(GDP)の約4割を占め存在感を高めている。

習氏は首脳会議欠席

議長国であるブラジルのルラ大統領は、昨年の20カ国・地域(G20)に続くBRICSの首脳会議、さらに今秋、やはりブラジルでの開催が予定されている国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)を通して途上国の声をまとめ上げ、ブラジルを新興・途上国「グローバルサウス」のリーダー格としてアピールしようと考えている。

会議では、初日に多国間貿易や中東・ウクライナ情勢などが話し合われ、2日目はパートナー国の首脳らも交えて議論が行われた。採択された首脳宣言では、米国の関税強化を念頭に、一方的な関税措置に対し深刻な懸念を表明。また加盟国であるイランへの軍事攻撃を国際法違反と非難したが、米国やイスラエルの名指しは避けた。他方、ウクライナ問題ではロシアの意向に沿い、ウクライナ側の反撃だけを非難した。

今年4月のBRICS外相会議では、各国の意見対立から共同声明を出せなかったが、今回はルラ氏の努力で何とか首脳宣言の発出にこぎ着けることができた。だが中国の習近平国家主席が欠席、ロシアのプーチン大統領もオンライン参加となった。BRICSを牽引(けんいん)している両国首脳の不在に加え、エジプトやイランも代理を派遣するなど首脳の欠席が相次ぎ、盛り上がりに欠けた空虚な首脳会議になった感は否めない。

国際紛争の多発や貧困、経済的格差の拡大など途上国の多くは世界の現状に不満を抱いており、西側主導ではなく多極化した秩序を求めている。そのためBRICSへの参加を希望する国は今後も増え、影響力は強まっていくことが予想される。

そうした潮流を背景に中国やロシアはBRICSを通してグローバルサウスへの影響力を高め、米国主導の国際秩序への対抗軸に育て上げたい思惑がある。ウクライナ侵略で経済制裁を受けているロシアには、国際的に孤立している印象を払拭する意図もある。一方、インドやブラジルなどは中露と友好関係を築きつつ、同時に欧米とも良好な関係を維持し、双方から利益を引き出したいと考えている。

かように各国の思惑はさまざまで、まさに同床異夢の枠組みである。実利で結び付くだけで共通の理念に乏しく、規模の拡大は続いても合意の形成はますます難しくなるだろう。

G7は途上国外交強化を

G7は、BRICSが今後も結束を維持できるのかその動向を注意深く見守ると同時に、途上国が権威主義勢力に利用されぬよう対グローバルサウス外交に力を注ぎ、途上国との関係強化と信頼の獲得に努めるべきである。

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