トップオピニオン社説教員の女児盗撮 言語道断のおぞましい犯罪【社説】

教員の女児盗撮 言語道断のおぞましい犯罪【社説】

女子児童の下着を盗撮し、SNS上のグループチャットで動画や画像を共有したとして、名古屋市と横浜市の小学校教員が性的姿態撮影処罰法違反容疑で逮捕された。

人格面でも児童・生徒の手本となるべき教員が、このような卑劣な犯罪に手を染めるとは言語道断だ。全容解明と再発防止策を急ぎ、子供たちの不安を少しでも取り除く必要がある。

動画などをSNSで共有

グループチャットは小中学校の教員10人程度が参加し、着替えやスカート内を撮影した動画や画像など約70点を共有。この中には、児童の顔に別人の裸の画像を合成した「性的ディープフェイク」とみられる画像も含まれている。グループのメンバーは「これはいいですね」「見入っちゃいます」などと感想を伝え合っていた。

逮捕された教員の一人は校長や教頭を補佐する主幹教諭で「学校のデジタルカメラで盗撮した」との趣旨の供述をしているという。SNSでつながった複数の教員が、本来であれば教育対象であるはずの女児を性的対象と捉え、歪(ゆが)んだ欲望を満たしていたのだ。おぞましいとしか言いようがない。

阿部俊子文部科学相は「教師への信頼が損なわれ、極めて遺憾。児童への性暴力はあってはならないことで、任命権者において厳正に対処していただきたい」と述べた。文科省は全国の教育委員会に対し、児童・生徒への性暴力防止や、教員の服務規律徹底を求める文書を出し、都道府県の教育長らを集めたオンライン会議も開いて指導する方針だ。再発防止を徹底しなければならない。逮捕された教員の勤務していた学校では、スクールカウンセラーによる児童への手厚いケアや保護者との情報共有などで不安の軽減に努めるべきだ。

2023年度に児童・生徒や同僚らへの性暴力・セクハラで処分された公立学校の教員は、前年度比79人増の320人で過去最多となるなど、歯止めがかからない状況が続いている。一方、24年6月には「日本版DBS」の創設を盛り込んだ児童対象性暴力防止法が成立し、26年12月に施行される。

日本版DBSは、教員や保育士らに性犯罪歴がないか確認する制度。新規採用者だけでなく現職も対象で、犯罪歴が確認された場合、子供と接しない仕事に配置転換するといった対応を求める。制度を効果的に運用し、教育現場などでの性犯罪根絶を図る必要がある。

子供が性被害を受けた場合、影響は極めて深刻だ。その時は何をされたか分からなくても、大人になってから自分を「汚れた存在」だと思い込むようになり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するケースもある。加害者は軽い気持ちでも、被害者の人生を台無しにしかねないことを周知徹底しなければならない。

性の乱れをなくしたい

教員の性犯罪の背景には、社会全体の性モラルの低下があると言えよう。

性の乱れをなくすことが、家族の絆を強め、子供の健全な成長につながることを一人一人が銘記したい。

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