トップオピニオン社説地方創生基本構想 都市から地方へ大潮流つくれ【社説】

地方創生基本構想 都市から地方へ大潮流つくれ【社説】

地方創生の実現に向けて、政府は今後10年間に取り組む基本構想を閣議決定した。東京圏から地方への若者の流れの倍増や「関係人口」を増やすことなどを掲げている。都市から地方への新たな人の流れを生み出せるかが鍵となっている。

「ふるさと登録制度」も

基本構想は、これまでの10年間の取り組みで地方から東京圏への人の流れを変えられず、東京一極集中に歯止めをかけられなかった反省を踏まえ、新たな方策を示したものだ。基本姿勢として、当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を受け止め、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる施策を講じるとしている。

柱に掲げるのが「若者・女性にも選ばれる地方をつくる」ことだ。若者、女性が地方から離れる理由は、魅力的な学びの場や職場がないことが大きい。基本計画では、政府関係機関の地方移転、企業・大学の地方分散を進めるとしている。それらを通し、10年後には東京圏から地方への若者の流れを倍増する目標を掲げている。目標達成に向け、政府は率先して機関の地方移転を推進すべきである。

若者や女性が魅力を感じる職場が生まれるためには、企業の誘致も必要だが、その地方の特長を生かした新しい産業を生み出すことも重要だ。人工知能(AI)やデジタル技術など最先端技術と情報ネットワークが地方の豊かな自然、農林水産物、伝統文化や伝統工芸などと結び付くことで、地方独特の産業が生まれてくる可能性がある。

若い世代は仕事中心の考え方が薄く、仕事と生活のバランスを重視する傾向が強い。そういう面で、自然が豊かで子育て環境も整った地方は、潜在的な魅力を持っている。あとは安定的で魅力的な仕事、職場を提供できるかどうかだ。

地方と都市の関係では、都市部に住む人たちが週末に地方で過ごすなどの「関係人口」を1000万人に増やすことを目指し、「ふるさと住民登録制度」を創設するとしている。登録すれば、その地域の施設を住民と同じように利用したり、自治体からの情報提供などが受けられたりする制度だ。複数自治体への登録も可能とし、延べ1億人を目指すという。

都市と地方の新しい関係が端緒となり、本格的な移住にもつながる可能性がある。地域活性化に資する制度にしたい。

新たな列島改造断行を

石破茂首相は地方創生に向けた本部の会合で「かつて人口増加期につくり上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められている。当面の人口減少を正面から受け止めた上で『令和の列島改造』を進めていく」と述べた。

「令和の列島改造」は、高度経済成長期の1972年に田中角栄首相(当時)が掲げ推進した「日本列島改造論」とは異なるものとなるのは当然である。しかし、今こそ新たな列島改造断行の時に来ていることは確かだ。国、地方、企業などが先頭に立ち、国民意識の転換と具体策によって都市から地方への人の流れをつくっていくべきだ。

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