多忙を極め、過労死レベルと言われる教員の勤務環境改善の一手として、残業代の代わりに支給されている「教職調整額」を段階的に引き上げる教員給与特別措置法(給特法)などの改正法が通常国会で成立した。これを受け、文部科学省は全国の教育委員会などに通知を発出した。改めて改正法の内容を周知し、準備を徹底させることを目指している。
解決できぬ問題も多数
1972年に施行された給特法は、教員の勤務環境の特殊性から勤務時間の内外を分けることが難しく、公立学校の教員に時間外勤務手当を支払わないと規定。その代わり月額給与の4%相当の教職調整額を支払うと定めている。
改正給特法は2026年から段階的に引き上げ、31年に10%とするというものだ。付則に▽29年度までに時間外勤務を月30時間に減らすことを目指す▽公立中学校で35人学級を実施するための措置を講じる▽教員1人当たりの授業時間を減らす――などを明記。教委に勤務時間管理などを義務付けている。勤務環境の改善を目指しているがカネで解決できないことも多く、人材の増員を叫ぶ声も多い。
長時間勤務の内容を見てみると▽運動系文化系を問わず、部活動の顧問▽児童・生徒の登下校の見守り・対応▽入学式、卒業式、体育祭、文化祭などの準備▽給食費などの学級費の徴収▽放課後の見回り▽校内清掃▽モンスターペアレントへの対応――などとなっている。一部は民間業者に任せたり、銀行振り込みに切り替えたり、学校での問題に対応する弁護士を雇ったりすることなども行われているが、勤務状況の改善の決定打にはなっていない。
昨年末に文科相が諮問した次期学習指導要領は、26年度中に答申を受け、30年度以降に小学校から順次実施される予定だ。学習指導要領の切り替わりの時期、ますます教員の負担は大きくなる。また、少子化が進むことで大学の入試は総合型選抜(旧AO入試)が中心になりつつある。探求型学習で何を学び、何ができるようになったか、大学で何を勉強し、社会に役立つような人材に成長していけるかなどが問われるようになる。
小学校高学年から教科担任制も取り入れられていく。楽しく学ぶことが主だった小学校から少し専門的に学ぶ中学校になると、途端に難易度が高くなり壁にぶつかってしまう。英語なら楽しく会話することがメインだった小学校から中学校になると文法が授業に組み込まれてくる。算数から数学に、理科から物理や化学に変わると数式や公式が飛び込んでくる。
時間と心の余裕が不可欠
このギャップを解消するための教科担任制だ。情報通信技術(ICT)機器端末の1人1台配備と、それに関連したソフトの広がりで徐々に解消していけるかもしれない。
時間と心の余裕がなければ、一人ひとりの子供に向き合い、学習意欲を高め、生涯学び続ける姿勢を育むという教員としての本分を全うすることは難しくなる。勤務環境改善という多次元・多項で難解な方程式を解くことは簡単ではない。





