
米国はイランの核開発を止められるのか。
攻撃を「革命の輸出」を推進し、中東を不安定化させてきたイランを抑止する足掛かりにしたい。
核施設を「完全に破壊」
トランプ米大統領がイランの核施設への攻撃を命じた。戦略爆撃機B2など総勢125機以上が参加し、イラン中部のナタンズ、フォルドゥ、イスファハンに地下貫通型爆弾「バンカーバスター」、巡航ミサイル、空対地戦術ミサイルなどを撃ち込む大規模なものだった。
ホワイトハウスのシチュエーションルームで作戦を見守っていたトランプ氏は核施設を「完全に破壊した」と発表。作戦の成功をアピールした。
イランは1979年に革命で王制を転覆させて以来、イスラム革命の理念や体制を周辺諸国に輸出することを目指してきた。「革命の輸出」であり「テロの輸出」だ。レバノンの武装組織ヒズボラなど国外の代理組織を支援、民兵組織をイラクやシリアなどに送り込み、シーア派の影響圏の拡大を進めてきた。イランから地中海に伸びる「シーア派の弧」だ。
パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスも、イランからの支援を受け、イスラエルへの攻撃を続けてきた。「イスラエルの破壊」は革命以来のイランの国是だ。
ところが、このところイランの退潮が顕著だ。ハマスはイスラエルの攻撃を受け、瀕死(ひんし)状態にある。シリアでは親イランのアサド政権が崩壊。イランはイスラエルから軍事攻撃を受け、防空ミサイルが次々に破壊されるなど、イスラエルの軍事力の前に歯が立たない状態だ。イスラエルは既にイランでの航空優勢を確保したとしている。
そこに米国からの核施設攻撃だ。イランは報復を主張するが、米イスラエルとの正面からの軍事衝突で勝ち目がないのは明らかだ。既に原油輸送の大動脈、ホルムズ海峡の封鎖をちらつかせている。封鎖となれば、中東への原油依存度が高い日本だけでなく、世界経済にとって大打撃となる。さらに、テロという手段で米イスラエルに報復することも考えられる。
イスラエルによるイラン爆撃開始後、イランの「体制転換」という言葉が飛び交うようになった。現在のイスラム聖職者支配からの転換だ。米国に亡命している元皇太子レザ・パーレビ氏も、反体制行動を呼び掛けた。
各国一致の取り組みを
トランプ氏は当初、体制転換は考えていないとしていたが、22日になってSNSで体制転換に言及した。イランは中東・北アフリカ地域でテロ組織を支援するなど、域内の不安定化を招いてきた。ペルシャ湾を挟んだアラブ諸国との対立も深刻だ。イランの核兵器保有が世界の安全にとって脅威となることは間違いない。既にイラン国内でも、体制への抗議行動が起き始めているという。
欧州の主要国は米国のイラン攻撃への支持を表明した。イランの弱体化を安定した中東の新秩序構築への契機にできないか。国際社会の一致した取り組みが必要だ。





