トップオピニオン社説最終盤国会 立民は不信任案を出せまい【社説】

最終盤国会 立民は不信任案を出せまい【社説】

記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=6日、国会内

国会は22日までの会期を延長せず、事実上、今週が最後の与野党攻防戦となる。立憲民主党が内閣不信任決議案を提出するか否かが最大の焦点だ。

石破茂首相は、立民の野田佳彦代表が提出しない可能性が大きいと判断し、衆院解散を見送る方向だが、「提出されれば採決を待たずに衆院を解散する」考えも明らかにしている。その場合、衆参ダブル選挙に突入する可能性が出てくる。

関税交渉で国難の最中

国会では今、7月の参院選を前に、物価高対策に関する主張が声高に繰り返されている。今月11日開催の党首討論では、石破首相が「2000円のコメが店頭に並ぶようになった。物価は確実に下がる」と指摘。これに対し、野田代表は「消費税もガソリン税も批判するが、何をやるかは決断しない」とし、政府は無策だなどと強調。食品の消費税率0%への引き下げなど参院選の公約をアピールした。

相互批判のボルテージは高まったものの、最大の注目点だった内閣不信任決議案提出についての野田代表の発言は最後の最後までなかった。

野田代表は首相だった2012年11月14日、当時の安倍晋三自民党総裁との党首討論で、衆院の解散を表明。東京都知事選との同日選を実施した。こうした経緯があるだけに、党首討論の機会を石破首相に不信任案提出の決意を示す場にするのではないかとの観測もあった。

党首討論翌日の7党首による会談は、石破首相がカナダでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)の際に行われる予定のトランプ米大統領との会談に備えて開催された。そこでも野田代表は党首会談を要請していたので実現したことに意味があったと肯定的な感想を語った。

石破首相が日米関税交渉について「国難とも言うべき状況では、政府・与党のみならず、野党も含めた超党派で対応する必要がある」と述べたことに対し、野田代表は「国難との意識が強い」と認識を共有していることを明らかにした。

立民の基本戦略は、多数を占めた野党が少数与党を追い込んで自党の政策を実現し、政党支持率アップを図り衆院選で政権を奪取するというもの。低支持率にあえぎ平身低頭戦術で国会運営を乗り切ってきた石破政権に内閣不信任案を突き付けて挑戦するチャンスのはずだ。

しかも、他の野党が協力すれば不信任案は可決される。立民で主戦派の小沢一郎衆院議員は「通りそうだから出さないというのはどういうことだ」と激怒し、政権を取る意思がないなら党を解散した方がいいとまで語っている。

政治空白をつくるな

野田代表としては、関税交渉で国難に直面している最中であり、野党共闘が進んでおらず、政党支持率も低迷し、自民のコメ高騰対策が好感され支持率が回復していることなどを総合的に判断しよう。「次の衆院選で政権交代できなければ代表を辞任する」とも表明しており、不信任案を出せないのではないか。

数頼みの主戦論は避けるべきだ。少なくとも無意味な政治空白をつくらないよう「熟慮」してもらいたい。

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