トップオピニオン社説沖縄県米事務所 違法な政治運動に予算割くな【社説】

沖縄県米事務所 違法な政治運動に予算割くな【社説】

沖縄県那覇市の県議会
ワシントン事務所の運営費を全額削除する予算案が可決された県議会=3月28日、沖縄県那覇市の県議会

沖縄県が米ワシントンに設置した事務所が、株式会社として登録されていたことが発覚し、県職員らが会社の肩書を用いるなど違法で不適切な活動をしていたにもかかわらず、県は運営費として3900万円の予算を充てようとしていた。地方公共団体として恥ずべき行為であり、県側は疑惑を解明し責任ある処分の形を取るべきだ。

県レベルの“外交”舞台

沖縄県ワシントン事務所は在沖米軍基地に反対するロビー活動の拠点として設置された。2015年に普天間飛行場の辺野古移設計画に反対する当時の翁長雄志知事が開設したもので、自民党出身の翁長氏が共産、社民、社会大衆など左翼政党と共闘した「オール沖縄」が鳴り物入りで取り組んだ県レベルの“外交”舞台だった。

だが、県政には日米安保条約への賛否もあれば、在日米軍、自衛隊への賛否もある。地元マスコミは米軍基地や辺野古への米軍移転について反対一色だが、選挙ともなれば辺野古移設を進める国の政策を支持する候補者も存在する。

にもかかわらず、公平中立であるべき地方公共団体が米国に事務所を置いて米軍基地反対運動を行うのは政治的に偏っており適切とは言えない。しかも、安全保障や外交は国家の専管事項であり、逸脱も甚だしいことだった。この型破りの行動も反米軍基地運動が「オール沖縄」のブームに乗ったためだった。

ところが、昨年9月の沖縄県議会で同事務所が株式会社として登録されていたことが保守系議員らの追及で明らかになった。県職員が肩書を偽って「株式会社沖縄県ワシントン事務所」の社員としてビザを申請し、違法な状態で米国に滞在した。政治色が強いため、非課税事業者として登録できなかったとみられている。違法状態を放置しての政治運動であり、目的は手段を正当化するとでも言うのだろうか。

この問題を巡り沖縄県議会は調査特別委員会(百条委員会)を開いたが、県の誰による指示で株式会社として登録し、県職員を会社員の肩書にしたのか、真相究明に至っていない。

沖縄県は違法な状態で運用した事務所のために15年以来、毎年1億円もの予算をつけてきただけでなく、問題が発覚した後にもかかわらず当初の今年度一般会計予算案にも3900万円の運営費を充てていた。3月28日の県議会本会議でこの運営費は全額削除されて、予算案は採決されたため、事務所は閉鎖されることになった。

だが、玉城デニー知事は「新たな体制でワシントン駐在が再スタートできるよう取り組みたい」と述べた。県が改めて反米軍基地のロビー活動に動こうとしているのは問題だ。

閉鎖完了でけじめつけよ

玉城氏は反基地の活動家に迎合して票を得てきたこともあろうが、県予算の適切な使い道とは言えないだろう。違法状態のけじめをつけるため、事務所閉鎖を完了することが先決だ。

現在、住宅に隣接した普天間飛行場の移設に向け、辺野古で埋め立て工事が進められている。これ以上反対するため予算を割くべきではない。

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