トップオピニオン社説3月日銀短観 トランプ関税の影響が心配だ【社説】

3月日銀短観 トランプ関税の影響が心配だ【社説】

日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)が示す企業の景況は、全体として前回の2024年12月調査と比べてそれほど変化はなく、大きく悪化したわけではない。

ただ、気になるのはやはり、トランプ米政権の高関税政策の影響だ。3月短観では一部の業種に出始めた段階だが、トランプ大統領が実施を表明した24%の相互関税により、その広がりが懸念される。政府・日銀は影響を最小限にとどめるよう努めてほしい。

景況感押し下げる恐れ

3月短観では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス12となり、4四半期ぶりに悪化。一方、大企業非製造業はプラス35と2四半期ぶりに改善した。製造業の悪化幅、非製造業の改善幅はともに2ポイントで、小幅だった。

もっとも、全体で小幅とはいえ、個別業界、製造業では特に鉄鋼がマイナス18と前回調査(マイナス8)から大幅に悪化。3月12日に米国が鉄鋼・アルミニウムへの追加関税措置を発動させたことへの懸念からだ。

産業の裾野の広い自動車は、生産回復に伴いプラス13と前回(プラス8)から改善したが、3日から課される25%の米追加関税に関して十分に織り込まれていないためで、足元の景況感は悪化している可能性がある。今後は懸念が深まり、景況感を一段と押し下げる恐れが強い。

大企業非製造業では、インバウンド(訪日客)需要が引き続き堅調だったほか、原材料費や人件費などコスト上昇分の価格転嫁が進展したことで、景況は1991年8月調査以来の高水準となった。

ただ、大企業非製造業も先行きは悪化を見込む。人手不足に伴う人件費上昇や仕入れコスト高などが依然として続き、コスト増への懸念があるからだ。

全規模全産業の雇用判断DI(「過剰」と答えた企業の割合から「不足」を引いた割合)はマイナス37と33年7カ月ぶりの不足超過になり、人手不足感が一段と強まっている。大企業非製造業では、3月調査(マイナス39)から先行きはマイナス40を見込むほどだ。また価格転嫁が進展しているとはいえ、コメをはじめとする物価高の継続で家計の節約志向は強まっており、先行きの懸念が拭えない。

大企業製造業の景況感は先行き横ばいだが、中小企業製造業、中小企業非製造業はともに悪化を見込んでおり、要注意だ。

政府は柔軟な支援を

日銀が政策判断で重要視する企業の物価見通しは、販売価格、仕入れ価格とも一段と上昇している。今後、米国の通商政策への反発から報復関税の動きが各国で広がれば、世界経済が悪化する懸念が少なくない。そのような中で物価が上振れて推移すれば、日銀はさらなる利上げを巡り難しい判断を迫られよう。

政府はトランプ関税に対応するため、政府系金融機関の融資要件の緩和を検討しているが、厳しい状況が予想される企業に柔軟な支援を望みたい。米国に対しては、相互関税が報復関税を招いて物価を押し上げ、米経済や米国民にとっても必ずしも利益にならないことを繰り返し説明すべきだ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »