
安定的な皇位継承と皇族数の確保のための動きを加速させるべきである。男系継承の皇統を守りかつ皇族数を確保するために、旧宮家の男系男子が養子として皇籍復帰する道を早急に整える必要がある。
議論引き延ばす立民
令和3年12月、安定的な皇位継承の在り方を検討する政府の有識者会議が、皇族数の確保策として①女性皇族が結婚後も皇室にとどまる②旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰する―の2案を提示した。それから既に3年以上が経過しているのに具体的な進展がないのは政治の怠慢だ。
今年に入り国会で皇族数の確保に関する与野党代表による協議が始まり、額賀福志郎衆院議長は有識者会議の2案に絞って検討を進め、今国会中に結論を得たいと表明した。決して拙速ではない、妥当なタイムスケジュールである。
昨年9月の国会の検討状況に関する中間報告では、女性皇族の身分保持について「認める方向でおおむね共通認識」が得られたと結論付けたが、女性天皇、女系天皇の容認に繋がりかねない点で、より慎重な検討が必要だろう。まして、その配偶者と子に皇族の身分を付与するなどは論外だ。
今年3月には、旧宮家の男系男子が養子として皇籍復帰する案について与野党の議論が行われた。自民、公明、日本維新の会、国民民主党は「有識者会議の報告は妥当」とする立場を示したが、立憲民主党とれいわ新選組は引き続き検討が必要だと主張し、共産党は反対した。養子の対象者となる旧皇族の男子は一般国民であるから、憲法の定める法の下の平等に違反する、などを理由に疑問を呈する立民の主張は為にする議論の印象をぬぐえない。
この議論の後、立民の野田佳彦代表は「まだまだ論点がてんこ盛りで、議論が必要だと感じた」と述べているが、いろいろな理由をつけて議論を引き延ばしたいという底意が見え見えである。皇位継承、皇族数の確保は国の根本に関わる重大事だ。徒(いたずら)に議論を長引かせている場合ではない。
旧宮家の皇族は、天皇を支える重要な役割を果たしてきた。先の大戦の終戦に際しては、昭和天皇の名代として、速やかな終戦受け入れのために、外地に赴き将兵を説諭して回った。終戦後、そのような宮家の歴史や存在意義を知るよしもないGHQ(連合国軍総司令部)によって11宮家が皇籍から離脱させられたのである。
皇族減少の懸念払拭を
旧宮家の男子は一般国民の立場になっても、旧宮家の一員であるとの自覚は残っているはずである。菊栄親睦会を通し皇族方と特別な絆で結ばれてきている旧宮家の男系男子が養子として皇籍復帰することは、皇族数を確保するだけでなく、皇位の男系継承をより安定的にすることに繋(つな)がる。
成年された秋篠宮家の長男で皇位継承順位第2位の悠仁殿下が皇位に就かれた時、お支えする皇族、特に男性皇族がどれだけいるかという懸念を払拭するためにも、旧宮家男子の皇籍復帰を急がねばならない。