秋篠宮家の長男の悠仁殿下が成年に当たり初の記者会見に臨まれ、成年皇族としての決意や象徴天皇の在り方について語られた。その頼もしいお姿に、日本の明るい未来が重なる。
気候変動にも御関心
悠仁殿下は冒頭、岩手県などで続く山林火災に触れ「一日でも早く収まることを願っております」と被災者を気遣われた。
昨年9月6日に18歳の成年を迎えられ、会見では成長を見守ってくれた人々への謝意を表明。「周りの方々から助言をいただきながら、一つ一つに丁寧に取り組み、成年皇族としての自覚を持ち、皇室の一員としての役割をしっかりと果たしていきたい」と決意を語られた。
象徴天皇に関しては「上皇陛下がお考えになり、天皇陛下が先日の記者会見でおっしゃっていたように、常に国民を思い、国民に寄り添う姿ではないか」としっかりと述べられた。皇室の在り方についても「人々の暮らしや社会の状況に目を向け続けていくことが重要」と語られた。
皇位継承順位第2位の殿下は将来、天皇の位にお就きになることを自覚し、御自身の問題として天皇の在り方を考え、その御覚悟を備えようとされていることと拝察される。記者会見を通し、そのような頼もしいお言葉を殿下から直接聞くことができたことは日本国民にとって大きな喜びである。
今年は戦後80年を迎える。殿下はこれまで広島、長崎、沖縄を訪れて戦争体験者から話を聞かれ、「言葉で表すことができないほど痛ましいもの」だったと回顧。本を読んだり、その場所を訪れたりすることを通して考えていきたいと語られた。
自身の長所に関しては「興味のあることを徹底して追求することができ、心引かれるものに没頭できること」と述べ、夏の休日にトンボを観察していて、気が付くと日が暮れていたというエピソードを披露された。
殿下は今春、筑波大学に進学されるが、生命環境学群生物学類を志望した理由を「生物に直接触れて学ぶことができるところが魅力」と明かし、「以前から興味を持っていた昆虫、とりわけトンボも含めて幅広く学んでいきたい」と学業への抱負を語られた。
国内外で関心のあることについては「地球上に暮らす人々にとって大きな課題の一つである気候変動」と述べ、近年の異常気象が「国内外に多くの自然災害をもたらし、大雨や酷暑、林野火災や大雪などによる被害も出ている」と指摘された。御関心の強さがお窺(うかが)いできる。
気候変動に代表される環境問題は、国民の生活や安全に直結する課題だ。環境問題への御関心は、殿下の国民や世界の人々を思う心をさらに強くし、今後の御公務の場でも示されることになると思われる。
旧宮家男系男子に皇籍を
爽やかな成年皇族となられた殿下の会見は、将来の日本のイメージへと繋(つな)がるものだ。その一方で将来、天皇の位に就かれた時、お支えする皇族がどれだけいるかということも頭をよぎる。皇族数とりわけ男性皇族数の確保は、男系継承の点でも重要だ。このためにも旧宮家の男系男子の皇籍復帰が急がれる。