トップオピニオン社説日本維新党大会 国政リーダーの存在が必要だ【社説】

日本維新党大会 国政リーダーの存在が必要だ【社説】

日本維新の会が党大会を開き、「夏の参院選でも与党過半数割れを実現」するなどの活動方針を決定し、大阪府知事の吉村洋文代表は社会保障改革など公約実現に向け「満身創痍(そうい)になって前に進める」と決意表明した。

だが、「憲法改正」が活動方針から抜けていたことが大会直前に判明するなど国政保守としての自覚が薄くなっている。

改憲などの発信力後退

党首が府知事であれば、府政や近隣の近畿地方にどうしても関心が強くなるのは仕方がないかもしれない。吉村氏は大阪府を副首都として「東西二極の一極をつくる」と述べ、統治機構改革を掲げた。従来、人口減少に伴う地方の過疎化などへの対策として「東京一極集中の是正」が議論され、「国土の均衡ある発展」が国土計画に求められてきた。

国政であれば北海道、東北、北陸、山陰、四国、九州など各地方に配慮した「国土の均衡」というアピールもあるはずだ。統治機構改革の一環としては、かつての首都移転構想で必ずしも大都市圏にこだわらない地方への移転が論議されたこともあった。むしろ「東西二極の一極」としての副首都構想は、江戸時代から続く東海道重視の古来の発想にみえる。

もっとも大阪維新の会の大阪における政治基盤が日本維新の会の力の源泉であり、代表選も大阪を基盤とする吉村氏が大差で勝利した。大阪中心の構想を掲げる党是は不思議ではない。だが、そこに維新が全国化した国政政党に脱皮できない理由がある。政策への関心も地方自治体次元であり、当初活動方針に盛り込まれたのは社会保障改革と教育無償化だった。

憲法改正、外交・安全保障など国政次元の政策発信力は、最初に維新が国政に進出した当時、国政復帰した石原慎太郎氏が橋下徹氏と共同代表を務めていた頃と比べて後退したことは否めない。本来、国政政党は国会議員がリーダーに選ばれるべきであろう。

党大会では共同代表の前原誠司衆院議員が、「まだ名前を覚えていない方もいる」と参加者に自身を売り込んだが、維新に昨年10月に入党した印象の薄さから求心力は乏しい。

しかも、来年度予算案修正で自民、公明の与党と協力して修正案と関連法案を衆院で通過させたことにより、野党としての存在感が埋没。他野党からは自公与党の「補完勢力」との批判を受けた。連立政権入りは否定しているが、党利党略がせめぎ合う国会でどのように独自性を発揮していくのか確たる見通しは感じられない。

これは維新の党員にとっても直接多数が党首として選んだ吉村氏とは違うところで、国政上の駆け引きが行われてなされる政治判断に納得がいくことも、いかないことも生じるだろう。このまま参院選に進めば、改選6議席維持も微妙だ。

保守改革目指す公約を

吉村氏は現有の参院18議席の維持を勝敗ラインとしており、6議席以上の獲得が実質的な目標となる。

保守改革派政党として、国政に訴える公約を掲げて議論を戦わせてほしい。

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