立憲民主党の定期党大会が行われ、夏の参院選に向けて「選挙の勝利を全ての党活動の目標に据える」などの活動計画を決定し、野田佳彦代表は「戦闘モードに入る」と宣言した。一方で「立憲民主党は影が薄いとどこに行っても言われる」と述べ、党の存在感をどう示していくかが課題になっている。
自民批判票を取り込めず
参院選で「与党の改選過半数割れを目指す」と活動計画に記した目標は、高いとは言えない。124の改選議席と、同時に行われる東京選挙区補欠選挙の125議席を各候補者で争うが、改選過半数割れは自民党と公明党の与党で62議席以下だ。しかし、与党は50議席以上を取れば非改選と合わせて参院で過半数を維持する。
野党第1党としては迫力不足を否めない。せめて立民単独で「改選過半数」の目標を掲げられないものか。他野党と協力して何とか与党の「改選過半数割れ」に持ち込むことを「全ての党活動の目標に据える」ということだが、野党間で選挙に向けて候補者調整など主導権を握り得るのか不透明である。
とりわけ立民にとっての泣きどころは選挙に勢いを欠いていることだ。昨秋の衆院選で50議席増やす躍進を遂げたが、比例代表の総得票数は約6万票しか増えず、100万単位で得票を増やした国民民主、保守系の新党に比べると頭打ちの様相であった。実際、その傾向は最近の地方選挙に表れている。
1月26日投開票の北九州市議会議員選挙で改選前7議席から6議席に減退、国民民主党は2人がそれぞれの選挙区でトップ当選して2議席を得ている。2月9日投開票の横浜市南区の市議会議員補欠選挙では当選した国民民主の熊本千尋氏1万5250票に対し、立民の佐藤啓治氏は6386票で共産党候補にも及ばず3位だった。
昨秋の衆院選では、自民党の左傾化や政治資金問題などに不信感を強めた有権者が自民党離れしたが、その批判票は「立憲」と銘打って護憲を掲げる旧社会党的な体質が残る立民に多くは向かわなかった。また内閣支持率が低迷すると自民党は新首相の誕生につながる総裁選によって批判をかわす。このため、単に「政権交代」「過半数割れ」を叫ぶだけでは3年ごとの参院選、その間の衆院選で野党が連勝し本当に政権交代を実現させるのは難しい。
過去には民主党が2009年に衆院選で大勝して政権交代を実現するまでの間、参院選での議席増加など国政選挙で連勝した。当時は政官業の鉄のトライアングル批判、天下り批判と事業仕分けによる節税など自民・公明連立政権への対抗軸を打ち出した。政権交代に向けた大義名分を有権者にアピールすることに成功したと言える。
新たに骨太な選挙公約を
結果的に民主党政権は米軍普天間基地移転の日米合意の白紙化で日米安保体制を緩め、公約に反する消費税増税に舵(かじ)を切ったことにより党内で内紛が起こり、自壊した。その失敗にヒントがあるのではないか。政策転換を果たし、新たに骨太な選挙公約を示して有権者を引きつける努力をなすべきであろう。