2月7日は「北方領土の日」。22日は「竹島の日」である。不法占拠されたまま解決の糸口を見いだせない日本の領土問題である。「北方領土の日」は、1855年2月7日に調印された日露通好条約に由来する。択捉島(日)と得撫(ウルップ)島(露)の間を日露の境界線とした。平和的に合意した歴史的経緯を踏まえて1981年に国会決議をもって「北方領土の日」と定めた。
北方領土とは、根室沖の歯舞群島と色丹、国後、択捉の4島を言い、面積は福岡県に匹敵する。終戦後にソ連軍が侵入・不法占領し、1万7000人住んでいた全島民を強制退去させた。現在、日本人は1人もいない。80年にわたってロシアの不法占拠が続いている。
「竹島の日」は、それまで国際法上の「無主先占」の地であった竹島を領土編入する閣議決定に基づく1905年2月22日の島根県告示に由来する。島根県は2005年(100年後)に竹島の早期奪還を期して県の条例で「竹島の日」を定めた。竹島は、隠岐島の北西157㌔にある2島で面積は東京・日比谷公園とほぼ同じ。戦後、韓国が帰属を主張する中、サンフランシスコ講和条約では日本への帰属と決まったが、講和条約発効3カ月前の1952年1月18日に韓国は一方的に「李承晩ライン」を宣言し、竹島を取り込んだ。韓国海洋警察隊が占拠し実効支配を続けている。
北方領土は、無条件降伏した日本が国家主権を失い、ソ連軍に対抗する術(すべ)がなく縦横無尽に席捲(せっけん)された。竹島は、主権回復・独立国家としての体裁が整わない時期であったため、韓国の武力占拠を阻止できなかった。いずれも我が国の力の空白に乗じて不法侵入、実効支配の挙に出たことを忘れてはならない。今更に「力による平和」の意義を肝に銘じる必要がある。
領土は国家存立、国家主権の基盤である。国際的に、領土に対する侵害は、国家の統治権に対する重大な侮辱であり、戦争挑発行為だと認識される。1センチといえども外国の不法占拠を許してはならないものだ。従って領土問題は、「犯された国家主権を復元する」国家の尊厳性に関わる重大な問題であり、返還要求は、国家威信を懸けた談判でなければならない。国際慣行に照らすならば、武力介入も辞さない覚悟で取り組むべき問題である。
尖閣諸島は、実効支配している我が国として領土問題は存在しないとの立場であるが、自国領土と主張する中国に狙われている。中国は、強化した海警局艦船を接続水域内に航行させ一方的な現状変更を試みている。2024年の接続水域内航行は過去最多の353日、領海侵入件数は39件と常態化を図っている。海保の巡視船が態勢を強化し警戒監視を続けているが、いつ強行占拠の挙に出るか分からない。
離島奪還作戦もあるが、領土は一度取られたら取り返すのは極めて困難である。取られてはならない。取られないためには相手に勝る力、「力による平和」が不可欠である。(遠望子)