トップオピニオン社説今年の国政課題 国の針路と戦略を熟議せよ 【社説】

今年の国政課題 国の針路と戦略を熟議せよ 【社説】

昨年10月の衆院選で少数与党に陥った石破政権が直面する今年の最大の課題は、7月に予定されている参院選を勝利して乗り越えることだ。野党が政権奪取に向けて攻勢を強めるのは間違いない。

国難対処の自覚必要

しかし、国際情勢は劇的な変化が予想され、党利党略で時間を費やす余裕はない。与野党全ての国会議員は、安全保障や少子化などの国難に緊急に対処しなければならないとの自覚を強く持ち、今月24日に開始予定の通常国会で、国家の針路と戦略を熟議して競うべきである。

石破茂首相は年頭所感で「外交・安全保障」「日本の活力回復」「治安・防災」の三つを重要政策課題として取り上げ、厳しい政権運営が続くことを念頭に「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく取り組む」との決意を表明した。

一方、立憲民主党の野田佳彦代表は年頭会見で「熟議と公開の国会運営の真価が問われる年だ」と指摘。通常国会の後半戦では参院選を前に「改選議席での与党過半数割れを実現する」ために「いかに通常国会で存在感を示すかが大事だ」と強調した。選択的夫婦別姓制度や年金の議論を通じて国会での主導権を握りたい意向だ。

懸念されるのは、先の国会で見られたように、批判のための批判や揚げ足取りで党の存在感をアピールし得点を稼ごうとする非建設的で党略的な姿勢が再現されないかである。令和7年度予算案の採決に向けて、国民民主など一部野党が政権に揺さぶりをかけ、妥協点を見いだせずに予算案が否決され、国政に遅滞が生じてしまうことも避けねばならない。

後半国会は参院選に向けてさらなる与野党の激突が想定される。立民の小沢一郎衆院議員は、先の衆院選で「国民の意思は自公政権を否定した」とし、「野党がどういう使命を託されたか自覚して」徹底抗戦するよう訴えている。

仮に、会期末前に野党が結束して内閣不信任決議案を可決すれば、石破首相は「主権者の審判を仰ぐことは極めて重要」とし、衆院解散を検討する考えを表明している。そうなれば、衆参ダブル選挙の可能性が出てくる。6~7月の東京都議選と合わせ、まさに選挙の夏が一気に訪れることになる。

改憲へ本気で尽力を

米国ではトランプ前大統領が間もなく再登場する。国際社会でのパワーバランスの変化も著しくなろうが、日本への影響も大きい。「政治とカネ」の問題は政治への信頼回復という面から即刻、解決すべきであると同時に、過去と現在と未来を俯瞰(ふかん)したわが国の針路やそのための戦略を真剣に熟議し解答を出していかねばならない。

今年は、自民党結党から70年でもある。

国会情勢は厳しさを増しているものの、立党時の「政綱」に謳(うた)われている「現行憲法の自主的改正」の歩を進めるため、改憲案の条文化作業を与野党そろって開始できるよう本気で尽力すべきである。

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