トップオピニオン社説政策活動費廃止 与野党で公平なルール作りを 【社説】

政策活動費廃止 与野党で公平なルール作りを 【社説】

今国会で焦点となる政治改革関連3法案が衆院を通過した。使途公開不要な政策活動費を全面的に廃止する与野党の合意が法案可決に弾みを付けた。衆院で与党が少数となり、政治家が自らに課する「政治とカネ」を巡るルール作りは各党の合議により公平に進めてほしい。

自民が一部非公開案撤回

自民党の各派閥および所属議員が集めた政治資金の収支報告書に記載漏れが頻発した問題が、いわゆる「裏金問題」と呼ばれて批判を浴び、政治改革が衆院選の争点となった。自民、公明の与党が過半数割れする敗北を喫した選挙結果を受けて、改革内容を巡っては与野党で多数の合意を得られるかが法案の成否の鍵となっている。

この点、野党7党が提出した政策活動費廃止法案、公明と国民民主党が提出した政治資金支出監視の第三者機関「政治資金監視委員会」設置法案、自民による外国人の政治資金パーティー券購入禁止や収支報告書のデータベース化といった修正案など、各党提案の3案を政治改革関連法案に盛り込んだのは妥当なことだ。

このうち政策活動費を廃止する論議では、自民は外交秘密などに関わる一部の支出は非公開にできる「公開方法工夫支出」を設ける提案をしていたが、立憲民主党との国対委員長会談で撤回した。党が所属する政治家に配る政策活動費は、使途不明金とも言える。政党が秘密にする資金の使い道を許容するかしないかは、各党の国会議員らが自ら決めることだ。

派閥の政治資金パーティーで集めた資金の一部の収支報告書不記載で、表に出ない資金の存在に焦点が当たったことから自民派閥は解散に踏み切った。そこに政策活動費が全廃されれば自民に変化が及ぶことは想像に難くない。総裁はじめ党執行部の恣意(しい)的な資金配りが“ブラックボックス化”されることを避け、説明責任を果たし得る使い方を心掛けなければならない。

また、今回の政治改革論議を機に政治資金調達の在り方を見直すべきではないか。1995年に政党助成法が施行され政党交付金が税金によって支払われるようになっている。リクルート事件や東京佐川急便事件などの汚職事件を巡る「政治とカネ」の問題についての議論で「政治にはカネがかかる」という言説が優勢になり、「国民1人コーヒー1杯分」の税金で政党を助成することになった。2人だった公設秘書も“政策選挙”実現の趣旨から政策秘書を1人増やせるようになった。

しかし、その後も「政治とカネ」の問題は終わらず、今回の政治改革論議になっている。果たして政治腐敗防止策の一環として導入された国による政党助成が現状のままでよいのか。来年3月末までに結論を出す企業・団体献金の是非と合わせて問い直す必要があろう。

献金受領は取り過ぎ

政治資金問題は政治家や政党、政治団体の問題だが、税金から政党助成、議員らの歳費を受け取った上に、民間を相手に資金を集めるのは取り過ぎに見える。企業・団体献金を残すのであれば、政党交付金を減らすべきである。

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