トップオピニオン社説尹氏弾劾可決 対北連携に遅滞を招くな 【社説】

尹氏弾劾可決 対北連携に遅滞を招くな 【社説】

韓国国会が尹錫悦大統領の弾劾訴追案を可決した。大統領は職務停止になり、韓悳洙首相が大統領代行となった。今後、尹氏の戒厳発令問題は憲法裁判所で審理される。弁明では自らが発令の理由を明らかにするとしているが、もはや政治闘争となった現下の状況で、憲法論だけで乗り切るのは難しいだろう。

戒厳発令の妥当性が焦点

大統領弾劾は過去2回行われた。2004年の盧武鉉氏は2カ月後に憲法裁で棄却となり復職したが、16年の朴槿恵氏は弾劾が認められ罷免された。これで保守政権が弾劾され、大統領選を行って左派政権が誕生するというパターンの2例目が強く予想されることになる。

憲法裁での焦点は戒厳発令の妥当性だ。12日の談話で尹氏は国会で巨大野党が「退陣要求と弾劾の扇動を止めなかった」として「議会独裁」の横暴さを訴え、「行政と司法の正常な遂行が不可能な状況」となり「国政マヒであり国家の危機」だったとして発令の正当性を強調した。

だが、多くの韓国民は尹氏の主張に耳を貸していない。保守メディアですら「野党の相次いだ公職者弾劾は明らかに過度な点があるが、あくまで憲法65条による政治行為だ。野党を説得したり、国民世論に訴えたりすればいいのか、軍を動員して国会を制圧するのか」考えるべきだったとしている。特別検察法案が乱発されたのも主に尹氏の夫人の疑惑に対してであって、この解明、清算を怠ったのも尹氏のミスだと指摘されている。

一方で、議会に軍を動員し、国会議員逮捕を試みたことで尹氏は「憲法秩序を乱した」として内乱罪にも問われている。大統領の不逮捕特権で内乱罪は例外だ。それに検察、警察、高位公職者犯罪捜査処など、捜査機関が複雑になり、それぞれが手柄を立てようとしていることも混乱に拍車を掛けている。

最も懸念されるのは、これらの機関による軍関係者の逮捕や職務停止だ。陸軍参謀総長はじめ主な軍司令官が軒並み職務停止になり「史上類例のない軍指揮部空白事態」を招来しているのだ。保守メディアは「安保に与野党の区別はない」「無理な清算作業は自制を」と呼び掛けている。北朝鮮との緊張が続いている状況では同盟国などとの連携に遅滞があってはならない。

憲法裁で弾劾が認められれば60日以内に大統領選挙が行われ、野党が政権を奪還する可能性が高い。それに対して韓国民の間では「第2の積弊清算、第2の反民族行為特別調査委員会の暴風で国論分裂がさらに深刻になる」という心配がある。

「歴史書き換え」に備えよ

留意すべきは左派政治勢力の核心部では「積弊」に日韓基本条約、さらに1910年の日韓併合条約も含める考えがあることだ。来年は日韓国交正常化60周年を迎えるが、この機に「歴史の書き換え」を進めてくる可能性を考慮しておくべきだ。野党が最初に出した弾劾案には「価値外交で日本中心の外交政策に固執した」ことを理由として挙げていた。今回の弾劾案ではこの部分は除いたが、野党の対日観が変わったわけではない。日本政府はいかなる状況にも対応できる準備をしておくべきだ。

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