トップオピニオン社説大谷選手MVP 来季も飽くなき挑戦を期待 【社説】

大谷選手MVP 来季も飽くなき挑戦を期待 【社説】

米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手がまた快挙を成し遂げた。昨年のアメリカン・リーグに続きナショナル・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。MVPに輝くのは3度目で、指名打者に専念した選手としては初めてだ。

初の「50本塁打、50盗塁」

今シーズンの大谷選手は、右ひじの手術の影響で指名打者に専念し、打率3割1分、本塁打54本、130打点、59盗塁を記録。本塁打王と打点王の2冠を達成した。

これだけでも大変な活躍だが、大リーグ史上初の本塁打50本、50盗塁の「50―50」という歴史を塗り替える偉業を達成した。来季も飽くなき挑戦を続けて活躍することを期待したい。

MVPは全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれるが、2021年、昨年に続き今年も30人全員が大谷選手に1位票を入れた。選考で重視されるのは、個人の成績と共にチームの勝利への貢献度の高さと言われる。

リーグ1位の本塁打と打点、打率も2位という成績を挙げているのだから、文句なしと言える。それに加え59盗塁が持つ意味も大きいと思われる。大谷選手はインタビューで「50―50」を開幕前から目標にしていたのかと聞かれ、「目標の数字みたいなものはなかったが、盗塁は強化しているポイントだった」と答えている。

指名打者で守備に就かない分、ほかに何かで貢献したいという思いがあったと思われる。そういう中で、少しでも塁を進んでチームの得点につながる盗塁にポイントを置いたのではないか。塁上に盗塁のチャンスを狙う大谷選手がいることは、バッターボックスの打者への援護射撃にもなる。

史上初となった「50―50」も、記録を狙うより、チームに少しでも貢献したいという思いが出発点にあった。このような姿勢も、選考者たちの念頭にあったはずだ。

3度目のMVP選出を受けて大谷選手のコメントは「ドジャースの一員として、代表してもらったと思っている。それくらいみんなでつかみ取った」という謙虚なものだ。個人の実力や達成を誇示する米選手などとは違い、あくまでチームの一員という姿勢は、いかにも日本選手らしい。

外国人選手の姿勢を真似(まね)て無邪気に個人的に喜ぶのではなく、あくまで大谷流を貫いているのは立派だ。その活躍と共に米国の野球ファンにも新鮮な印象を残すのではないか。

若者に勇気与える活躍を

来季は投手と打者の「二刀流」の復活が期待される大谷選手。サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)とMVPとの同時受賞を見据えているのかとの質問に「まずは復帰して、しっかりともう一回さらに強くなったパフォーマンスというのを出して、自信を持ってマウンドに上がるのが目標」と堅実に答えている。

このような控えめな姿勢を示しつつも、内に強い決意を秘めて黙々と努力するのが大谷流。来シーズンも日本人に自信と誇りを持たせ、特に若い世代に夢に挑戦する勇気を与える活躍を期待したい。

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