トップオピニオン社説日本維新代表選 国政で存在感発揮する代表を 【社説】

日本維新代表選 国政で存在感発揮する代表を 【社説】

日本維新の会の代表選挙が17日に告示される。衆院選挙で敗退したことから馬場伸幸代表が辞意表明したことを受け実施することになったが、野党勢力にあって政権担当能力を示し得る責任政党の矜持(きょうじ)を示す選挙を期待したい。

自民離反票を取り込めず

維新は今回38議席で改選前の43議席から5議席を減らした。前回の2021年衆院選では立憲民主党と共産党などの「野党共闘」が敗北し、保守系野党の維新が41議席を獲得。改選前の11議席から4倍近い躍進となった。しかし今回は、立民が共産との共闘関係に一線を画して議席を増やしたほか、国民民主党に大きな追い風が吹いた。

前回と比べれば3議席減で、前回の躍進の水準をある程度維持したとも考えられる。だが、問題は与党過半数割れとなった選挙で、自民党からの離反票を取り込めずに敗退したことだ。

維新は今回比例票を300万票近く減らしており、関西圏以外の集票が落ち込んでいる。一方、ミニ政党の参政党、初挑戦した日本保守党両党の得票は合わせて300万あり、自民離反票は維新よりも保守系の新党に向かったとも言える。

また、党首の顔は選挙にも大きく影響する。その点、維新の「共同代表」という同党独特のポストは“雇われ店長”の印象を拭えない。

これは、かつて大阪府・市の知事・市長として行政改革を強く推し進めた橋下徹氏が立ち上げた大阪維新の会が地方選で集めた票を基盤として、12年に国政政党として日本維新の会が結党されたためだ。

オーナーは大阪維新の会であり、共同代表などを務める大阪府知事ないし大阪市長ら地方首長が実質トップという印象は、維新の10年以上の歴史を通して全国に浸透しているのではないか。地方首長、議員らから成る大阪維新の会の下部組織として国会議員団があると受け取られかねない構造である。

当初、全国に支持を広げるため、東京都知事から同年衆院選で国政復帰した石原慎太郎氏らが合流した。大阪維新の会と都政を担って東京に基盤を築いた石原氏でタッグを組むことにより、国政の第3勢力を築くと期待されたが、間もなく分裂し維新の党と石原氏らの次世代の党に分かれた。党内対立は“東西分裂”となった形だ。

維新の党はその後も分裂し、その中のおおさか維新の会が16年参院選後に松井一郎府知事が音頭を取って党名変更し、現在の日本維新の会になった。しかし、依然として関西の地域政党のイメージが足かせとなっている。共同代表のポストは見直すべきだろう。

代表は国政専念を

12月1日の投開票に向けて、大阪府知事の吉村洋文共同代表が出馬表明しており、有力だ。いずれ誰が当選するにせよ、国政で指導力を振るうため、代表が国会で議席を持ち、国政に専念することが望ましい。

仮に地方首長が当選した場合、次の国政選挙で議席を得るべきである。新しい代表を選ぶに当たっては、国政での存在感の発揮につながるか否かが焦点となろう。

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