文部科学省の2023年度「問題行動・不登校調査」によると、全国の小中学校で23年度に不登校だった児童生徒は前年度比約4万7000人増の34万6482人で、過去最多を更新した。高校(6万8770人)も過去最多で、小中高を合わせ、41万5252人に上った。
不登校に陥った原因はさまざまだろう。子供一人一人に寄り添い、それぞれに合わせた支援を行う必要がある。
コロナ禍などが背景に
文科省によると、小中の不登校は11年連続増。23年度の増加の背景には、新型コロナウイルス禍で生活リズムが乱れたことによる登校意欲低下や、児童生徒の休養の必要性を明示した「教育機会確保法」の趣旨が浸透したことなどが挙げられる。
近年は不登校の長期化傾向が見られる。病気、経済的理由などを除いて年間30日以上欠席することを不登校というが、90日以上の欠席者が占める割合は5割台で推移している。また23年度は、小学1年生の不登校が9154人で過去最多となった。幼稚園や保育園に通っていた時期に、コロナ禍で集団生活の機会が減ったことが影響しているとの見方もある。
不登校になった場合、教育機会を確保するための最善の方法は一人一人違うだろう。それを見つけるためにも、学校の教職員はスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとも連携して子供との接点を持ち続け、オンライン授業や転校、あるいは「校内教育支援センター」などにつなげる必要がある。
校内教育支援センターは、登校はできるものの自分の教室に入れない子供が過ごすため、空き教室などを利用して設けられたスペースだ。支援員による学習サポートやオンライン授業などを受けることができ、ここに通うことで再び教室で授業を受けられるようになった子供もいる。文科省は昨年度から自治体への財政支援によって拡充を図っている。
ただ不登校の原因としては、外国人の子供に見られる言葉の問題や発達障害などもある。こうした子供の場合、学校だけでなく専門家による支援も求められよう。
今回の調査では初めて都道府県教育委員会を通して各学校が把握している不登校の児童生徒の状況を調べた。それによると、小中学校とも「学校生活に対してやる気が出ないなどの相談があった」のは不登校児童生徒の30%を超え最多。小学校は「生活リズムの不調に関する相談」、中学校は「不安・抑うつの相談」が続き、いずれも20%を超えていた。
安心できる居場所を
生活リズムの乱れはスマートフォンの長時間利用の影響などもあろう。昼夜逆転の生活をどのように改善し、再び登校できるようになったかなど、文科省や自治体は成功事例を周知してほしい。
一方、家庭内の不和、両親の別居や離婚などが子供の不登校の原因となるケースもある。子供が元気に学校に通うには、家庭の安定も重要だと言えよう。学校でも家庭でも、子供が安心できる居場所づくりに努めなければならない。