トップオピニオン社説【社説】衆院選投開票 国の針路誤らぬ政権選択を

【社説】衆院選投開票 国の針路誤らぬ政権選択を

第50回衆院選があす、投開票される。石破茂首相は内閣を発足させたわずか8日後に衆院解散を断行し、12日間の選挙戦を経て政権への信任を問う短期決戦に打って出た。しかし、首相の命名した「日本創生解散」の中身が議論されることは少なく、「政治とカネ」の問題で自民党に強い逆風が吹き、自民、公明による与党の過半数確保が焦点となっている。

弱まる「自民らしさ」

国内外情勢が激動する中、緊急に対処すべき課題への与野党論戦が十分に掘り下げられなかったのは残念だ。有権者には、国の進むべき針路を誤らない政権選択ができるよう各党の政策をしっかり比較、考慮して投票してもらいたい。

今回の選挙戦では、安倍政権時代のように投票日前の世論調査で圧勝する勢いのある政党はない。自民党は派閥のパーティー収入不記載問題で謝罪を繰り返した。公示直前になって不起訴処分となった12人を非公認、34人を比例重複にしない過重な処分を科したことで、大半が苦戦している。

政策面でも、党是の憲法改正を前面に出して真剣に訴える意気込みが感じられず、歴史と伝統を重んじ国柄を守る大切さを強調する「自民党らしさ」が弱まり、候補者の演説からほとんど聞くことはできなかった。岸田前政権が崩した保守岩盤層の離反数の多いことも影響し、単独過半数は厳しい情勢だ。

公明党も11小選挙区での多くが接戦である。自民が非公認とした2人を推薦したことで批判を浴びている。自民、公明両党は旧民主党政権下で浮上した「政治とカネ」の問題を取り上げるなど、最終盤で防戦から攻勢に転じようと戦術転換した。

一方、立憲民主党の野田佳彦代表は「本気で政権を取りに行く覚悟だ」と叫び続けた。しかし、敵失の「政治とカネ」の問題を攻撃することがメイン。訴えた主要政策の一つは、選択的夫婦別姓の導入だったが、夫婦が別の名字になると家族の絆や一体感が弱まるのは明らか。ジェンダー平等に重きを置く党の限界を露呈した。議席の増加は予想されているが、その多くは政権批判票の取り込みでの伸長とみられる。

他の野党との関係でも、前回衆院選で共闘した共産党と142選挙区で競合。日本維新の会とは115選挙区で対立し、国民民主党も含め選挙後の連携は見通せない。野田氏は「政権交代こそ最大の政治改革」と訴えるが、連立を組んでの政権交代には非常に高いハードルがある。

若年層こそが投票を

与野党の違いが明確なまま議論の深まらなかった政策は、恒久財源確保のための防衛増税への立場だ。防衛力強化の点で立民は与党と一致しているが、数字ありきの増税に反対している。ただ、防衛費を2023年度から5年間で43兆円規模とするのは「対米公約」となっている。

北東アジアの安全保障環境は厳しさを増しており、わが国の平和と安定を守るため日米同盟が円滑に機能し続ける必要のある現実を考慮すべきである。

若年層の投票率の低さが指摘されている。国の未来を背負う若年層こそ投票してほしい。

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