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【社説】パラリンピック 世界に平和のメッセージを

「広く開かれた大会」をスローガンにパリ・パラリンピックが開幕した。ウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦闘が続く中での開催となったが、その平和の祭典としての意義は五輪に劣らない。大会の成功を祈りたい。

参加国・地域は過去最多

今大会は、過去最多となる170近い国・地域と難民選手団などから約4400人が出場の見込みで、22競技549種目でメダルを争う。日本勢は海外大会最多の175人が参加。過去最多、アテネ大会の52個を超えるメダル獲得を目指す。

開会式は、フランス革命の舞台となったコンコルド広場で行われた。五輪と同じく初めての競技場の外での開催だ。競技の幾つかも、歴史的なパリの街並みの中で行われる。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で基本的に無観客となった東京大会と違い、観客を入れての開催となる。

開会式は五輪同様、祝祭的な雰囲気に包まれた。ステージでは車いすのダンサーなど障害のある人を含め150人以上がダンスを披露して会場を盛り上げた。障害を乗り越えて、その場に集ったパラアスリートたちの喜びと意気込みが伝わった。

開会あいさつではパリ五輪・パラリンピック組織委員会のトニー・エスタンゲ会長が「皆さんは駄目だと言われても進み続け、障害という言葉にパフォーマンスで応じてきた。不可能と言われても実行してみせた」と選手たちをたたえ、「皆さんがもたらす感動一つ一つが決して消えることのないメッセージを生んでいる」と激励した。

国際パラリンピック委員会のアンドリュー・パーソンズ会長は「世界的な紛争が拡大し、憎しみが増大し、排他的風潮が高まる今、スポーツで社会を結び付けようではないか」と訴えた。さらに「私たちはお互いが持つ違いをたたえ、違いの中にこそ強さがあること、違うことの美しさ、違いが善のための強い力となることを示す」と大会の意義を強調した。

そして最後に「競技会場はこれまでになく象徴的な場所ばかりだ。スポーツの力を通して世界のリーダーたちに示していこう。一つになることは可能だと。平和に競い合い、ルールに従って競技し、社会にプラスの影響を与えることができるのだ」と訴えた。

社会を変革するメッセージの発信という点で、パラリンピックが五輪に勝るとも劣らない力、五輪とは別種のメッセージ力を持つことは、前回の東京パラリンピックで証明された。

選手たちの活躍を期待

日本選手団は、入場行進では全体の76番目に登場。旗手は陸上の石山大輝選手と競泳の西田杏選手が務めた。障害を持つ人との共生、パラスポーツの隆盛は成熟社会のバロメーターである。東京パラリンピック開催で高まったパラスポーツに対する関心がさらに強まることが望まれる。

今大会ではゴールボール男子とブラインドサッカーで初めて開催国枠以外で出場権を獲得するなど、日本のパラスポーツに新しいページを開く。選手たちの力強いパフォーマンスと目標の達成を期待したい。

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