【社説】平和サミット ウクライナ支援の結束示した

ウクライナの和平案を協議する「平和サミット」がスイスで開かれ、92カ国と国連など8機関が参加して共同声明を採択した。ウクライナ攻撃を続けるロシアに対して国際社会が結束を示す形は整えたが、和平の実現には引き続きウクライナを粘り強く支援していく必要がある。

100の国・機関が出席

ロシアの軍事侵攻が始まった2022年にウクライナは10項目の和平案を提唱したが、今なおロシアに応じる姿勢はない。しかし、あわやウクライナ降伏かと思われたロシアの電撃戦は失敗し、欧米諸国がウクライナへの武器供与に踏み切った。侵攻は3年目に入り戦線は膠着(こうちゃく)状態となって長期化している。

ここまでウクライナが持ちこたえたことで国際社会が和平案を意識し、ロシア不参加にもかかわらずイタリアで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の時期に合わせて平和サミットが実現した。

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領の任期延長に対して政権の根拠を欠いているとして話し合いに応じない理由にした。だが、ウクライナに戦時の非常事態をもたらした当事者による正当化にも程がある。

協議されたのは和平案のうち3項目で、原発の安全確保、食料安全保障、捕虜の解放と拉致された子供の帰還だった。ロシアはウクライナのザポロジエ原発などを占領し、一歩間違えば攻撃により大きな原子力災害が起きかねないほか、プーチン氏をはじめ核兵器の使用の可能性にたびたび言及する核威嚇を行っている。

またウクライナの小麦などの穀倉地帯や船舶による食料輸出の拠点となる港湾への攻撃などで、ウクライナだけでなく輸出先の国々でも食料不足を引き起こした。さらに、ウクライナで子供たちを拉致しロシアに連れ去ったことは国際法上の戦争犯罪として、すでに国際刑事裁判所(ICC)がプーチン氏に逮捕状を出している。

これら3項目について採択された共同声明は、ウクライナの原発はウクライナが完全管理し、核威嚇は容認しないこと、食料安保を武器に使ってはならないこと、捕虜と連れ去った子供の返還などを求めた。共同声明は80以上の国・機関が支持した一方、インド、南アフリカ、ブラジルなどが支持しなかった点は課題が残る。

だが、平和サミットに100の国・機関が出席したことは、ロシアの侵略行為に反対するデモンストレーションとなり、ウクライナにとっては大きな望みとなっている。G7サミットと共に平和サミットに参加したゼレンスキー氏は「非常に強力な一歩だ」と評価した。

露軍撤退への努力継続を

ロシアは「ウクライナ疲れ」をもたらす時間稼ぎによって、ウクライナで占領した地域の違法な併合宣言を既成事実化することを狙っている。

強大な軍事国家から一方的な侵略を受ける国が、存亡を懸けて国際社会の中で築いた地歩は、最大限の外交成果を引き出していると言えるもので、ロシア軍撤退と和平に向けた努力を継続すべきである。

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