【社説】地方創生10年 一極集中打破へ戦略再構築を

地方創生の本格的な取り組み開始から10年が過ぎたが、人口減少や東京一極集中の流れは変わっていない。地方消滅の危機が叫ばれる中、住みよい魅力ある地方を創生し、一極集中を打破する戦略の再構築が必要だ。

若者の東京転入超過続く

地方創生は、東京一極集中を是正して地方の人口減に歯止めをかけ、日本全体の活力を高めることを目標に、2014年9月、第2次安倍改造内閣発足とともに本格スタートした。地方自治体が行う創意工夫の取り組みを国が後押しすることを基本とし、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚・出産・子育ての希望をかなえる、魅力的な地域をつくる――など四つを柱として進められた。

しかし政府が発表した「地方創生10年の取組と今後の推進方向」と題した文書では、人口増となった地域もあるが、国全体では「人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要がある」と総括した。

文書によると、東京圏への転入超過数は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年に約14・6万人だったのが、感染拡大の影響で21年には約8万人まで減少した。だが23年には約11・5万人となり、東京圏への一極集中の流れが再び強まりつつある。

特に進学や就職を契機に10代後半から20代の若者の転入超過が続いており、「その傾向は男性よりも女性において顕著」という。地方から出産適齢期の女性が出生率国内最低の東京に吸い込まれ、東京は人口の「ブラックホール」となっている。文書は「女性・若者にとって魅力的な、働きやすい、暮らしやすい地域づくりに向けた検討を女性・若者の視点から行っていく必要がある」としている。

また、さまざまな取り組みによって人口増を果たした自治体もあるが、多くは移住者の増加による「社会増」にとどまり、地域間の「人口の奪い合い」になっていると指摘する。この傾向を変え「自然増」に至るためには、出産適齢期の女性がもっと地元に留(とど)まるようになり、東京圏からIターン、Uターンする女性が増える流れをつくらなければならない。

幸いこれまでの国と自治体の取り組みで、若い人たちの地方移住への関心は高まっている。国の移住支援事業の拡充で、これを活用した移住者数は23年度は約7800人となっている。

政府は流れ変える覚悟を

地方への人の流れを力強いものとするためとして、文書は「これまで進めてきた地方移住、企業の地方移転、地方への国内投資の促進、地方大学・高校の魅力向上等については一層効果的に取り組むとともに、テレワークを活用して」などとしている。方向性は間違いないが、この機運を高めるには、本格的な政府機能の移転や副首都の建設などの大きな施策が必要だ。

テレワークの普及、働き方の多様化、二地域居住への関心の高まり、関係人口の増加、政府が打ち出すデジタル田園都市国家構想など、人口の流れを変えるための環境は整いつつある。問題は、政府と地方が覚悟を持って取り組むかだ。

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