【社説】LGBT「親子」 家族制度の混乱に歯止めを

性同一性障害で性別変更した40代の「女性」と、変更前の凍結精子を用いて女性パートナーとの間にもうけた次女との親子関係が争われた訴訟で、最高裁第2小法廷は先月末、当事者の意見を聞く弁論を開いた。その判決が今月21日に言い渡される。

最高裁が認める見通し

弁論は二審の判断を見直すのに必要な手続き。二審の東京高裁は、次女が性別変更後に生まれたことを理由に、親子関係を認めなかった。最高裁はその判断を変える見通しだ。

次女の福祉を考えると親子関係の承認は大切だ。同時に、最高裁の判断次第では「父」「母」の概念が生物学的な性別と切り離され曖昧となることも懸念される。性同一性障害特例法の改正など、家族関係の混乱を防ぐ方策を急いで講じる必要がある。

2004年施行の特例法には「現に未成年の子がいない」、生殖能力を「永続的に欠く」などの性別変更要件がある。当事者が子にとって「父」「母」のどちらなのか混乱が生じるからで、未成年の子がある当事者の性別変更や、変更後に子が生まれることは想定されていなかった。

だが今回のケースでは、当事者の女性は凍結精子を用いて、性別変更前に長女を、変更後に次女をもうけた。裁判では、子供2人が原告、当事者を被告として親子関係の認知を求めている。一審の東京家裁は、2人にとって「父」「母」のいずれにも該当しないと判断。東京高裁は、変更前に生まれた長女との「父子関係」は認定したが、次女に関しては認めなかった。

最高裁が親子関係を認める場合、「父子」「母子」をどう判断するのか、注目される。今後も同様の訴訟が起こされることが予想されることから、家族観の混乱につながる判断にならないことを期待したい。

家族制度を混乱させる事態はすでに地方行政で起きている。同性カップルの関係を「婚姻」相当と認める同性パートナーシップ制度は現在、全国約450の自治体に広がっている。未成年の子供を含めて「家族」と認めるファミリーシップ制度を導入する自治体も少なくない。

パートナーシップ制度で、同性カップルは内縁の「夫婦」と同じ扱いになる。この考え方を広げ、カップルのどちらか一方、あるいは互いに子供がいた場合は「親子」と認めようというのだ。

一方、パートナーシップ制度に登録した同性カップルの住民票を巡り、長崎県大村市と鳥取県倉吉市は、世帯主との続柄欄に「夫(未届)」あるいは「妻(未届)」と記載することを認めている。栃木県鹿沼市も7月から同様の制度を始める。

同性カップルの場合、これまでは「同居人」と記載してきた。事実婚で行われてきた表記を同性カップルにも適用することで、「家族の多様性」を認める社会の実現に向け、地方から国を動かそうというのである。

政府は強い危機意識を

だが、これは地方から日本の家族制度を崩壊させる動きとして捉えるべきである。家族は日本の伝統文化と国力を支えてきた。それを「多様化」の名の下に混乱させる動きに、政府と立法府は強い危機意識を持って対応すべきである。

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