【社説】日米韓合同訓練 中国念頭に海洋の安全維持を

海上保安庁と米沿岸警備隊、韓国海洋警察庁による初の合同訓練が、京都府舞鶴市沖の日本海で行われた。

中国の海上法執行機関、中国海警局の公船が沖縄県・尖閣諸島沖や、フィリピンなどと領有権を争う南シナ海で活動を強める中、日米韓の海保機関が訓練を通じて連携を強化することの意義は大きい。

海保機関が捜索救助訓練

訓練は2007年から日韓が実施してきた訓練に、米沿岸警備隊の巡視船や無人機が参加する形を取った。日本海で船舶が衝突し火災が発生したとの想定で、人形を使って漂流者を捜索救助する訓練を行った。

海保巡視船「わかさ」の中根正信船長は「3カ国の連携で救難技術を向上させ、協力体制の強化を図れるよう訓練したい」と話した。訓練には、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、日米韓の連携強化をアピールする狙いがある。

中国海警局の公船は尖閣周辺で領海侵入を繰り返し、日本漁船に接近するなどの危険な動きも見せている。南シナ海では、フィリピン船に衝突したり、放水銃でフィリピン側の乗組員にけがをさせたりするなど危険行為をエスカレートさせている。中国が軍事力を背景に強引な海洋進出を進めることは断じて容認できない。

中国海警局は18年7月、軍の最高指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊(武警)に編入され、21年2月には武器使用を認める海警法が施行された。「第2海軍」とも呼ばれ、今年5月に台湾を取り囲む形で行われた大規模軍事演習では台湾の離島沖で艦隊の訓練を実施した。こうした情勢の中、民主主義や法の支配といった価値観を共有する日米韓3カ国の海保機関が合同訓練を行ったことは時宜を得たものだと言えよう。

昨年8月に米キャンプデービッドで行われた日米韓首脳会談では、海洋安全保障に関する3カ国の協力枠組みを設立することで合意。これを受け、3カ国の海保機関は今年5月、連携強化に向けた文書を初めて取り交わし、東南アジアや太平洋島嶼(とうしょ)国の海上保安能力の向上を支援することを確認した。日米韓が主導して地域の海洋安全保障を維持しなければならない。

日米韓は海洋データを集約して不審船探知などにつなげる「海洋状況把握(MDA)」でも協力する。海洋に関わるさまざまな情報を集約・共有することは「自由で開かれたインド太平洋」の実現にも欠かせない。MDAについては既に日米豪印での取り組みも進めており、日米韓の協力が海洋の安全に資することを期待したい。

台湾や比との連携強化を

韓国の尹錫悦政権、台湾の頼清徳政権、フィリピンのマルコス政権は日米との関係を重視する立場だ。しかし台湾統一を目指す中国は、台湾を孤立させるために太平洋島嶼国に触手を伸ばし、19年9月にはソロモン諸島とキリバス、今年1月にはナウルが台湾と断交した。

日米韓は重層的な協力関係を構築し、台湾やフィリピンなどとの連携を強化して中国に対抗する必要がある。

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