【社説】エネルギー計画 原発新増設と建て替え明記を

国の中長期的なエネルギー政策の方向性を定める「エネルギー基本計画」を見直すための議論が始まった。脱炭素の流れが加速する中、二酸化炭素(CO2)排出を抑える原発や再生可能エネルギーを電源構成上どのように位置付けるかが焦点となる。脱炭素と電力の安定供給へ次期計画では原発の新増設や建て替えを明記すべきだ。

GX基本方針で政策転換

2021年10月策定の現行計画では、30年度の電源構成を再エネ36~38%、原発20~22%としている。再エネは前計画の22~24%から割合が増えたが、発電量が天候に左右されるため、大幅な活用拡大には懸念が残る。日本は山間部が多く、太陽光発電などの適地も限られる。

一方、原発の再稼働が進まない中、現在はCO2排出量の多い火力発電が電源構成の7割程度を占めている。しかしウクライナ危機に伴い、液化天然ガス(LNG)の価格は19年比で22年には平均で約6倍に高騰したという。日本は原油の約9割以上を中東からの輸入に頼っているため、情勢の悪化が調達の支障ともなりかねない。

原発はエネルギー安全保障の面でも優れた電源だ。燃料となるウランは、世界各地に埋蔵されているので安定的に調達できる。また、少ない燃料で大きな発電量を生み出せる特長がある。

政府は23年2月に閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」に、原子力を脱炭素効果の高い電源として「最大限活用」する方針を明記し、原発の建て替えや運転期間延長を盛り込むなど、東京電力福島第1原発事故後の原発政策を転換。今月始まった「GX2040ビジョン」の議論でも、経済活動を支えるエネルギーの安定供給体制を確保するため、原発など脱炭素電源の投資促進を目指している。こうした動きを基本計画にも反映させる必要がある。安全性の高い次世代原発の早期実用化も盛り込むべきだ。

現行計画は、原発の使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。原発の活用拡大には核燃料サイクル確立も不可欠であり、次期計画でも方針を引き継ぐ必要がある。ただ、サイクルの要となる日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の完成は延期が続き、高レベル放射性廃棄物の最終処分地は未定だ。

最終処分地に関しては今月、佐賀県玄海町が北海道の2町村に続いて選定に向けた文献調査を受け入れると発表した。適性が認められると次の概要調査に進むが、その実施には都道府県知事の同意が必要となる。現在のところ北海道、佐賀県両知事は反対しており、いかに理解を得ていくかが課題となる。

石炭火力の重要性強調を

現行計画は、30年度の石炭火力の比率を約2割としている。欧州などでは廃止論が強まっているが、再エネの導入が進む中、電力の安定供給には石炭火力による調整が欠かせない。次期計画でも石炭火力の重要性を強調し、CO2を巡っては、地中に貯留する「CCS」や燃料の一部を水素・アンモニアに置き換えて排出量を減らす「混焼」の開発推進を盛り込むべきだ。

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