【社説】つばさの党逮捕 選挙妨害は現場で迅速対処を

衆院東京15区補欠選挙で他陣営の選挙運動を妨害したとして、同選挙に候補者を擁立した政治団体「つばさの党」の代表、立候補者、運動員の3人が逮捕された。

他陣営からは被害届が出されており、逸脱した行為があったと言わざるを得ないが、選挙の公正さと秩序を守るには、現場で迅速な対処が本来、なされるべきではないのか。

動画約40本を生配信

衆院補選が告示された4月16日から投開票前日の同27日までの12日間、つばさの党は選挙妨害の様子を動画サイトのユーチューブで約40本も生配信し、再生回数も250万回以上に及んでいたという。同党の3人が逮捕されたのは選挙期間最終日から20日後の今月17日で、妨害された候補者たちにとっては後の祭りだ。

他陣営の候補者の街頭演説に対して大音量で怒号を上げる、「カーチェイス」と称して他陣営街宣車を追い回すなどの妨害行為に対して、警視庁はつばさの党陣営に何度も警告した。しかし、逮捕された党代表の黒川敦彦容疑者、同補選に立候補していた根本良輔容疑者、運動員の杉田勇人容疑者らは一向に行為を改めなかった。

黒川容疑者は安保法制への反対運動や、安倍晋三元首相を追及する政治運動で頭角を現した。対立陣営に反対する意思を過激に表現するオーバーな政治パフォーマンスは、ある種の確信犯と言える行為だ。

投稿サイトでの再生回数が急上昇する、いわゆる「炎上」によって注目されて知名度を上げ、広告収入を稼ぐ目当てもあっただろう。

昨年、私人逮捕系ユーチューバーの過剰行為が問題となった。痴漢などの現行犯を捕まえて警察に連行する一部始終を動画撮影して投稿し、再生回数はうなぎ登りだったが、結局、人違いや違法売買の誘導が問題になるなどして逮捕された。

今回のつばさの党の問題行為は、選挙運動で過激な動画を発信して注目を浴びようとしており、ネット選挙解禁の落とし穴と言えるだろう。ネット選挙運動は選挙期間外は禁止されているが、補選期間12日間の選挙運動を宣伝することは可能だ。黒川容疑者は選挙期間中に自らの選挙運動として、他陣営の演説現場に付きまとうような活動を正当化していた。

悪質な誹謗(ひぼう)中傷行為はネット選挙でも禁止されている。つばさの党の3人の逮捕は、公職選挙法225条の選挙の自由妨害容疑によるものだが、候補者同士で批判があるのが選挙であり、悪質な誹謗中傷か、選挙の自由妨害かどうかの判断は、表現の自由も相まって即断が難しい問題かもしれない。

立候補登録抹消を可能に

しかし、車による追い回し、大音量での妨害、他陣営への執拗(しつよう)な付きまといなど物理的な逸脱行為の線引きはあらかじめ定めて、速やかな取り締まり、候補者登録抹消などを可能にする法整備は必要ではないのか。スポーツ競技も、ルールを守り反則に判定をすぐに下す審判がいなければ成り立たない。国や自治体の政治を決める選挙においてはなおさらである。

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