【社説】中露首脳会談 権威主義勢力の覇権阻止せよ

ロシアのプーチン大統領が訪中し、習近平国家主席と首脳会談を行った。会談で習氏はプーチン氏を「老朋友(古くからの友人)」と呼び親密な関係をアピールするとともに「中露関係は両国の基本的利益だけでなく、平和にも資する」と強調。プーチン氏も中露は「国際舞台の安定化要因」だと応じ、互いに侵略や威圧を重ねる事実から目を逸(そ)らし、両国関係の重要性を自画自賛した。

両国の思惑にズレも

両首脳が署名した共同声明では、米欧に対抗する姿勢を示した上で、合同軍事演習の拡大など安全保障や経済、さらに人工知能(AI)、宇宙など幅広い分野での協力を確認。ウクライナ戦争では露軍の撤兵ではなく政治的解決を強調した。また台湾問題でロシアは「一つの中国」原則を厳守し台湾独立に反対したほか、東京電力福島第1原発の処理水を「核汚染水」と呼び、海洋放出に「深刻な懸念」を表明するなど中国の立場に与(くみ)した。

中露の狙いは、首脳会談を通して両国の強い結束やトップ同士の信頼関係の深さを世界に誇示することにある。だが、両国の思惑にはズレが目立つ。力関係の変化も見逃せない。

プーチン氏が通算5期目の大統領就任後最初の訪問先に中国を選んだのは、対ウクライナ戦争への中国の協力を確認して欧米への対抗姿勢を強めたい思惑からだ。だが、プーチン氏は昨年10月に訪中したばかりだ。1年を経ずしての訪問は、対中依存の大きさを示している。戦争が長期化するほど中国への従属化が進むことになろう。

一方、経済不況から抜け出せず、しかも米国市場から締め出された中国は、今月習氏自ら訪欧し、欧米の分断を図って欧州諸国との経済関係を強化させようと動いた。だがフランスのマクロン大統領らから、不均衡貿易の是正や、ウクライナ和平実現へロシアに対する強い働き掛けを迫られる結果に終わった。

ロシアと欧米に挟まれ対応に苦慮する中国は、表面上対露支援を強調しつつも、西側の世論を意識し、ロシアと共倒れせぬよう巧みに深入りを避ける曖昧な対応を取っている。一方、ロシアから経済的な利益を得るなど強(したた)かに立ち回ってもいる。

即(すなわ)ちロシアのウクライナ侵攻後、中国はロシアから安価で大量の石油を購入し、米欧の対露制裁を無力化させた。また直接武器は供与していないが、武器への転用可能な汎用品の対露輸出を増やしており、中国がロシアの軍事力を下支えしていると言っても過言ではない。

支援停止を強く求めよ

両国に西側諸国はどう対応すべきか。ロシアには、中国の属国となりたくなければ即刻ウクライナから兵を引き揚げよと戦争の中止を迫るべきだ。ロシアの弱体化は中国の強大化に繋(つな)がり、その脅威はさらに高まる。

中国には、ロシアへの支援を続けながら欧米との関係改善を図ることは不可能だと悟らせ、支援を止(や)め侵略国ロシアと距離を置くよう強く求める必要がある。ロシアと組んで欧米主導の国際秩序を打倒し、さらにそのロシアを従え世界の覇権を握ろうとする中国の野心は、何としても阻まねばならない。

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