【社説】GDPマイナス 消費の回復へ円安を止めよ

2024年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値が、物価変動の影響を除いた実質で年率2・0%減と、2四半期ぶりにマイナスとなった。

自動車メーカーの認証不正による生産停止や、能登半島地震の被災地での経済活動停滞など一時的要因の影響が大きいが、今後は歴史的円安により物価高が長引き、消費などに影響することが懸念される。政府・日銀は断固とした姿勢で円安阻止に臨んでほしい。

大きかった一時的要因

1~3月期は、トヨタ自動車グループの認証不正問題や能登半島地震に加え、長引く物価高も重しとなり、内需・外需の主要項目が総崩れとなった。特に個人消費と輸出の落ち込みが成長の足を引っ張った。

内需ではGDPの半分以上を占める個人消費が前期比0・7%減と、08年のリーマン・ショック前後の時期以来の4四半期連続マイナス。認証不正による自動車の生産・出荷停止の影響で乗用車の購入が大きく減少したほか、スマートフォンの消費も振るわなかった。物価高による節約志向も続く。

外需では輸出が自動車の生産停止の影響から5・0%減と4四半期ぶりのマイナスで、コロナ禍が深刻化した直後の20年4~6月期以来の下げ幅となった。輸入は3・4%の減少で、成長率にはプラスに寄与したが、内需の弱さをも示しており、喜べるものではない。

設備投資も0・8%減。半導体分野では底堅かったが、企業がトラックなど業務用の車両を購入できないなど認証不正による出荷停止が影響した。

もっとも、1~3月期はこうした一時的な要因が大きかっただけに、それがなくなる4~6月期はプラス成長に転じるとの見方が民間予測では多い。

実質賃金は3月まで過去最長の24カ月連続でマイナスだが、今年の春闘で33年ぶりに5%を超える高い賃上げ率となったことや、6月の定額減税が所得を押し上げれば、消費の回復が期待でき、自動車の生産再開と合わさって成長がプラスに転じるというわけである。

確かに、こうした見方で間違いないであろう。問題は、1㌦=150円を超える最近の円安である。円安による輸入物価の上昇で物価高が長引く恐れが生じており、実質賃金のプラス化が遠のきかねないからである。「高い賃上げ率の恩恵を、円安が相殺してしまう」との懸念の声は識者ばかりでなく、経済界や24年3月期決算で好業績の企業からも聞こえる。

電気代補助終了見直しを

政府・日銀は4月下旬から5月上旬に、実施したことを公表しない2度の為替介入で、160円台に付けた円相場を153円台まで戻したが、引き続き過度の円安に断固とした姿勢で対処してもらいたい。

政府は電気・ガス代抑制のための補助金を5月使用分で終了する予定だが、円相場の動向次第で物価高が長引き、実質賃金のマイナスがさらに継続するような場合は、終了を見直し、再開を検討すべきである。高い賃上げ率の好環境を生かし、経済に力強さを取り戻したい。

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